雲仙温泉（読み）うんぜんおんせん

精選版 日本国語大辞典

うんぜん‐おんせん ‥ヲンセン【雲仙温泉】

長崎県東部、島原半島の雲仙岳にある温泉群の総称。泉質は硫黄泉。峰湯泉(みねのゆ)。

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

うんぜん‐おんせん〔‐ヲンセン〕【雲仙温泉】

長崎県雲仙市の温泉。雲仙岳の南麓にあり、泉質は硫酸塩泉・硫黄泉。地獄の名をもつ多くの硫気孔や間欠泉がある。

出典　小学館

日本歴史地名大系

雲仙温泉
うんぜんおんせん

• 長崎県：南高来郡
• 小浜町
• 小浜村
• 雲仙温泉

[現在地名]小浜町雲仙

絹笠（きぬがさ）山と矢（や）岳の間の標高約七〇〇メートルの盆地にある。雲仙天草（うんぜんあまくさ）国立公園のうち。「肥前国風土記」高来郡之条に「峯の湯」とあるのが雲仙の温泉という。江戸時代キリシタンに地獄責めの迫害を加える場になったと伝える。承応二年（一六五三）これより以前から雲仙を管轄していた加藤善左衛門清輔が湯壺の経営に乗出し、喧嘩口論や賭博の禁止など五ヵ条による湯本定を触れている（小浜町史談）。以後、加藤氏は代々雲仙の温泉経営にあたるが、元禄八年（一六九五）には二代忠清が温泉場に旅宿を設けて湯銭の徴収を始め、また島原藩に運上銀を納めた。安永四年（一七七五）には四代寿輔が加藤の姓を許され、御目見格となり、湯守のほかに小浜村乙名席や温泉山の見回りなどの山留役に任じられ、「温泉山湯本之儀（中略）善左衛門壱人支配に申付置候」とされ（「覚書」小浜町史談）、独占的な権利を所持していた。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

日本大百科全書(ニッポニカ)

雲仙温泉
うんぜんおんせん

長崎県雲仙市小浜(おばま)町雲仙にある温泉。『肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)』に峯湯泉(みねのゆ)として紹介された古い歴史をもち、雲仙火山群中の標高約700メートルの盆地内に湧出(ゆうしゅつ)している。地体構造からみれば、金浜(かなはま)、布津(ふつ)、別所(べっしょ)、吹越(ふきこし)の四つの断層線の交錯する地帯に相当し、地下約10キロメートルのマグマ溜(だま)りから上昇、分化した温泉が、金浜断層に沿って噴出している硫黄(いおう)泉である。泉温は高く、噴気は炭酸ガス、硫化水素を含む水蒸気で、俗に地獄とよばれている。江戸時代のキリシタン禁制時代には地獄責めの刑も行われたと伝えられ、地獄内にキリシタン殉教碑と十字架がたてられている。泉源は37か所（古湯(ふるゆ)2、新湯(しんゆ)34、小地獄1）を数え、別所地区を含む古湯はもっとも古い歴史を有するが、泉源の枯渇したものが多く、ホテルはほとんど新湯地区の地獄から引き湯し、その泉源は八幡(はちまん)、お糸、焦熱(しょうねつ)、邪見(じゃけん)、大叫喚(だいきょうかん)、新湯の各地獄の硫気孔、噴気孔からの自然湧泉である。小地獄での泉源は噴湯池を形成し、共同浴場を中心に旅館や寮などが建ち並ぶ。雲仙岳探勝の基地で、長崎、小浜、島原などからバスが通じ、国道57号、市道小浜仁田峠(にたとうげ)循環線も走っている。

［石井泰義］

『『雲仙』（1957・長崎県小浜保健所）』▽『『雲仙温泉調査報告書』（1962・長崎県衛生部）』

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

雲仙温泉
うんぜんおんせん

長崎県南東部，雲仙市南西にある温泉。島原半島の雲仙岳山麓にある。泉質は硫黄泉。泉温は 50～80℃で，湯量も多い。温泉は古代からの歴史をもち，古湯，新湯，小地獄に分かれて温泉街を形成。近世は長崎に居住する外国人の避暑にも利用された。標高約 700mの高原にあって，自然環境に恵まれている。一帯は噴気を上げており，「地獄」が多く分布する。春のミヤマキリシマ (深山霧島)，秋の紅葉，冬の霧氷と四季を通じて見どころがあり，観光客が多い。ホテル，旅館の施設も充実し，別府とともに九州の一大温泉観光地をなす。また，国民保養温泉地に指定されており，療養機能をもつ。雲仙天草国立公園の中心の一つ。

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