雷鳴の陣(読み)カミナリノジン

デジタル大辞泉 「雷鳴の陣」の意味・読み・例文・類語

かみなり‐の‐じん〔‐ヂン〕【雷鳴の陣】

平安時代雷鳴のときに宮中臨時に設けられた警固の陣。近衛大将次将清涼殿孫庇まごびさし伺候しこうし、弦打つるうして天皇を守護し、将監しょうげん以下も諸所を警固した。かんなりのじん。

かんなり‐の‐じん〔‐ヂン〕【雷鳴の陣】

かみなりのじん」に同じ。
「―の舎人とねり」〈・二五八〉

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改訂新版 世界大百科事典 「雷鳴の陣」の意味・わかりやすい解説

雷鳴の陣 (かみなりのじん)

平安時代,雷鳴の激しいとき,天皇を守護して近臣が陣をしくこと。大雷鳴3度に及ぶと,近衛大将,次将が弓箭(きゆうせん)を帯して紫宸殿御簾(みす)前に,将監(しようげん)以下は簑笠を着て南庭に陣し,鳴弦を行い,雷収まって陣をといた。平安中期には清涼殿に布陣し,後代は蔵人滝口の弓で鳴弦を行う簡単なものとなった。《枕草子》に見え,王朝儀式書等に5月の臨時儀式として扱われているが,11世紀初めの《北山抄》は〈近代見えず〉としている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雷鳴の陣」の意味・わかりやすい解説

雷鳴の陣
かみなりのじん

奈良時代以降,雷鳴のとき宮中に宮人が陣を立て警固したことをいう。のちには大雷3度に及ぶとき,左右近衛は御在所に,左右兵衛は紫宸殿前に陣し,内舎人春興殿西廂に立つようになった。さらには蔵人滝口御所に伺候して鳴弦し,御持僧が念誦するだけとなった。

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