電信為替(読み)デンシンカワセ

デジタル大辞泉 「電信為替」の意味・読み・例文・類語

でんしん‐かわせ〔‐かはせ〕【電信為替】

電信指図による為替送金為替と取立為替(逆為替)のいずれにも利用された。平成19年(2007)の郵政民営化によるゆうちょ銀行発足に伴い、取り扱いを終了

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「電信為替」の意味・読み・例文・類語

でんしん‐かわせ ‥かはせ【電信為替】

〘名〙
郵便為替の一つ。至急に送金の必要ある場合、受取人居住地電報で通知し、ただちに速達郵便配達する為替。電報には電信文をつけることができ、また配達に際し為替証書で届ける方法、現金で届ける方法とがある。送金金額に制限はない。電報為替
朝野新聞‐明治一五年(1882)四月一四日「電信為替にて、金百円見舞として送る」
外国為替売買する際、手形の代わりに電信で為替決済を行なうこと。送金電信為替と取立電信為替がある。これに伴う電信為替相場は為替相場を端的に表わすので、その代表的なものとされている。略称TT。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「電信為替」の意味・わかりやすい解説

電信為替
でんしんがわせ

電信為替には2種類ある。(1)一つは、郵政民営化前の郵便局で取り扱われていた電信為替である。この電信為替は、電信を使用して、現金が必要になったATM(現金自動預金支払機)のない場所、出張先、祝い金、香典などの受取人に当日中に送金する場合に利用された。2007年(平成19)10月1日の民営化を機に廃止され、民営化後のゆうちょ銀行には引き継がれなかった。なお、民営化前に発行した電信為替証書は、有効期間内はゆうちょ銀行・郵便局の貯金窓口で現金との引換えが可能である。電信為替証書の有効期間は発行の日から6か月であり、有効期間経過後3年間で、為替金に関する差出人および受取人の権利は消滅する。現在、ゆうちょ銀行は、口座をもっていない先への急ぎの送金には、「電信現金払(窓口払)」の利用を勧めている。これは、差出人(送金者)の振替口座・総合口座の預かり金をゆうちょ銀行・郵便局の窓口で相手(受取人)に渡すものである。

(2)もう一つは外国為替における電信為替である。これは、送金の指図に電信(電報やテレックス)を利用する為替(Telegraphic Transfer)のことで電信送金ともいう。外国に送金する場合、郵便送金(Mail Transfer)、電信送金(電信為替Telegraphic Transfer)、送金小切手による三つの方法がある。郵便送金では、送金に通常1週間程度かかるので、急を要する場合には電信送金(電信為替)が利用される。これは、送金依頼を受けた外国為替銀行が、支払銀行宛(あ)てに、受取人に支払う旨を記載した「支払指図」を電信で送る方法である。

[太田和男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「電信為替」の意味・わかりやすい解説

電信為替 (でんしんかわせ)
telegraphic transfer

TTともいう。為替決済を手形や送金小切手を用いず電信テレックスによって行うもの。銀行は依頼主の依頼を受けて,自行の本支店もしくは取引先銀行に対し,依頼金額の支払(送金電信為替),または取立て(取立電信為替)を指図する。なお,この支払,取立てのしくみについては〈為替〉の項を参照されたい。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「電信為替」の意味・わかりやすい解説

電信為替【でんしんかわせ】

(1)電信による郵便為替。電報為替とも。送金人が現金を郵便局に払い込み,その局から電信で通知を受けた払渡局は,電信為替証書の呈示で受取人に現金を支払う(証書払)か,現金書留で受取人に配達する(居宅払)。(2)手形の代りに電信を用いる外国為替。外国に送金する場合(売電信為替)とその逆の場合(買電信為替)がある。電信為替相場は為替相場を端的に表すとされる。
→関連項目郵便為替

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電信為替」の意味・わかりやすい解説

電信為替
でんしんかわせ
telegraphic transfer; TT

電信指図による為替で,郵送形式による為替,すなわち手形,付替票のような普通為替に対する言葉である。一般に為替相場という場合には電信為替の売買に適用する相場,すなわち対顧客電信売相場 TT Selling Rateと対顧客電信買相場 TT Buying Rateである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の電信為替の言及

【郵便為替】より

… 国営の為替制度は1817年フランスにおいて初めて実施され,日本では前島密(まえじまひそか)等の努力により74年9月郵便為替規則が制定され,75年1月から実施された。国内隔地間送金には,普通為替,電信為替,定額小為替の3種類がある。普通為替は,75年に開始されたもので,郵便局が差出人から持ち込まれた現金に対し為替証書を発行,差出人がこれを受取人に送付し,受取人がその為替証書と引換えに郵便局窓口で為替金を受け取る仕組み。…

※「電信為替」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android