電気伝導性樹脂(読み)デンキデンドウセイジュシ

デジタル大辞泉 「電気伝導性樹脂」の意味・読み・例文・類語

でんきでんどうせい‐じゅし〔デンキデンダウセイ‐〕【電気伝導性樹脂】

導電性プラスチック

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「電気伝導性樹脂」の解説

電気伝導性樹脂
デンキデンドウセイジュシ
electroconductive resin

電気伝導性を有する樹脂.高分子化合物中に金属や炭素などの電気伝導性物質を含有させたものと,高分子化合物自身が電気伝導性を示すものとがある.後者については,共役型,キレート型,電荷移動型などが知られている.共役型としては,
(1)多環式芳香環やヘテロ芳香環を側鎖としてもつもの,
(2)芳香縮合環型,
(3)非ラダー型の共役型,
などがある.これらの例としては,次のようなものがよく知られている.

キレート型としては,ポリ銅フタロシアニンがその代表例で,この場合,金属原子のd軌道と配位子との間にd-p共役を生じる結果,半導性の剛直な分子鎖ができるものと考えられている.

一方,電荷移動型としては,テトラシアノキノジメタン-ポリビニルピリジン錯体が知られており,この場合には,一重項または三重項電子が接近したバンドレベルにあるため,電子の遷移が容易になり,その結果,電気伝導性が出現するとされている.

アセチレンをチーグラー系触媒で重合することにより,ポリアセチレンフィルム白川英樹らにより作成された.このフィルムをハロゲン,AsF5などの電子受容体によってp型の,またアルカリ金属などの電子供与体を添加(ドープ)するとn型の半導体となり,電気伝導率も 103 Ω-1 cm-1 を超えるものができ,準一次元的半導体,あるいは合成金属が得られる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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