電気炉鋼(読み)でんきろこう(英語表記)electric steel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電気炉鋼」の意味・わかりやすい解説

電気炉鋼
でんきろこう
electric steel

電弧式電気炉で精錬された鋼。十分な高温が得られ,しかも調整等が容易で燐・硫黄などの不純物質の除去高レベルでできるため,平炉でつくられたものより良質。一般に生産コストは高くなる。工具鋼,ステンレス鋼,耐熱鋼,特殊合金鋼などおもに特殊鋼として,機械化学航空,自動車などの各工業で利用されている。

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世界大百科事典(旧版)内の電気炉鋼の言及

【電気炉】より

… 一般に電気炉法は,他の製鋼法たとえば転炉法および平炉法などに比べて,生産費は高くつくが優良鋼ができるため,特殊鋼および高級炭素鋼製造に用いられていたが,最近では,設備費が安いこと,屑鉄の品質に左右されないことから,普通鋼にも用いられはじめている。電気炉鋼は各種ステンレス鋼,耐熱鋼,構造用合金鋼,工具鋼,特殊合金鋼として,化学工業,自動車工業,航空機工業,機械工業などにおいて使用されている。 日本で最初の電気炉製鋼は,1908年松本市において,土橋長兵衛の独学の研究と実験により開始され,工具鋼および合金鋼が製造された。…

【平炉】より

…これらのいくつかの欠点によって転炉鋼は高級な鋼の製造には向かず,ほとんど時を同じくして発明された平炉でつくられる平炉鋼に優位を奪われた形となった。電気炉鋼は平炉鋼よりもさらに信頼度が高く,高級鋼,合金鋼の製造に適している。しかし,1949年に発明されたLD転炉によってつくられる鋼の品質は,平炉鋼よりも優れていることがしだいにわかったため,60年代後半になると平炉鋼の転炉鋼に対する品質上の優位性はなくなった。…

※「電気炉鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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