露清銀行(読み)ろしんぎんこう(英語表記)Russko-kitaiskii bank

改訂新版 世界大百科事典 「露清銀行」の意味・わかりやすい解説

露清銀行 (ろしんぎんこう)
Russko-kitaiskii bank

19世紀末に創設されたロシアの銀行。ロシアがシベリア鉄道建設とも関連して,清国との経済関係を強化し,それによりイギリスに対抗して清への影響力を増強するために創設した。1896年1月開業。ツァーリ政府主導のもとに,フランスの銀行グループとロシア国際商業銀行の出資による株式会社形態をとった。1906年まで,1500万ルーブルの発行株式の大部分はツァーリ政府が所有した。重役数9(後に11)のうち,3をフランス,残りをロシア大蔵省関係者が占めた。本社ペテルブルグ。清,モンゴル,日本,フランスに19支店,ロシアに22支店。1900年の取引高はロシアで第5位。本来の商業活動から,徐々に政治的活動がまさるようになった。日露戦争後,大きな物質的損害を受け,06年から指導権はフランス資本の手に移った。10年ツァーリ政府の裁可を得て,北部銀行と合同し,ロシア・アジア銀行に改編された。
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世界大百科事典(旧版)内の露清銀行の言及

【対華借款】より

…94年の匯豊(わいほう)銀款はロンドンにおいて発行された最初の清国公債であり,債券の額面は500両,清国政府の手取りは100両につき98両とされた。また,95年の露仏借款を機にロシアは露清銀行を設立し,清国に対する影響力を強めるなど,列国は借款を通じて自国勢力の扶植を図り,外国銀行は積極的に公債発行の引受けを拡大した。清末の利権回収運動の高揚により,その後しばらく借款は行われなかったが,日露戦争後,日本の東三省への進出に対抗するため,1911年に東三省幣制・軍事借款が起こされた。…

※「露清銀行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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