非人溜(読み)ひにんため

精選版 日本国語大辞典 「非人溜」の意味・読み・例文・類語

ひにん‐ため【非人溜】

〘名〙 江戸時代非人が管理し、病気囚人および一五歳以下の罪人を収容した特殊な牢。浅草品川とにあり、前者は非人頭車善七が、後者は同松右衛門が支配した。非人小屋。溜。
御触書寛保集成‐四七・享保八年(1723)一一月「当人をは非人溜え日限なしに預置

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の非人溜の言及

【溜】より

…江戸時代における拘禁施設の一種で,病監かつ少年監。江戸では浅草と品川の2ヵ所にあり,町奉行の監督下,非人頭(ひにんがしら)が管理したので非人溜とも呼んだ。溜への収容を溜預(ためあずけ)()といい,入牢中の重病人や無宿の行き倒れ,あるいは15歳に達すれば遠島(えんとう)に処せられるべき幼年者が預け入れられた。…

【非人】より

…彼らは江戸幕府のひざもとで,歴代,〈穢多頭(えたがしら)〉の地位にあった弾左衛門(だんざえもん)の統轄下に置かれたが,直接的には江戸浅草の車善七(くるまぜんしち)に代表されるような各地の非人頭,もしくは非人頭に該当する役職の者(たとえば,京都ではそれを悲田院年寄といっていた),さらには非人頭に属する多数の小屋頭たちの支配を受け,町外れや河原の非人村の小屋に住み,物乞い生活を基本としながら,大道芸,犯罪者の市中引廻し,処刑場での雑役などで,日々の暮しをたてていた。江戸では,罹病の囚人や15歳未満の罪人たちは,浅草・品川の非人頭のもとで非人が管理していた非人溜(ひにんため)に収容され,そのことを非人小屋預(あずけ)といった。また,前記の無宿・野非人については,天保~嘉永年間(1830‐54)に浅草に非人寄場(よせば)が設けられていた。…

※「非人溜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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