非常事態宣言(米国)(読み)ひじょうじたいせんげん(べいこく)(英語表記)National emergency declaration

知恵蔵mini 「非常事態宣言(米国)」の解説

非常事態宣言(米国)

戦争や災害などで国家が重大な危機に直面した際、大統領が迅速に対応できるようにする米国の行政手続き。正式名称は「国家非常事態宣言」。1976年に成立した国家非常事態法に基づき、大統領が宣言する。これにより、大統領は議会承認を経ずに海外派兵や資産凍結、予算確保などの措置を取ることが可能になる。同法には上・下両院賛成により宣言を無効化できるという規定があるが、大統領はこれに拒否権を発動できる。同法成立後、79年のイラン米大使館人質事件、2001年の米国同時多発テロ事件などで適用された。しかし、非常事態の定義明文化されておらず、大統領の裁量が大きいことから、19年にドナルド・トランプ大統領が公約として掲げるメキシコ国境の壁建設を進めるために行った宣言のように、その正当性を厳しく問われるケースもある。

(2019-2-19)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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