面桶(読み)めんつう

精選版 日本国語大辞典 「面桶」の意味・読み・例文・類語

めん‐つう【面桶】

〘名〙
一人前ずつ飯を盛って配る曲げ物。後には乞食の持つもの。べんとう。めんつ。
※正法眼蔵(1231‐53)洗面「面桶をとりて、かまのほとりにいたりて、一桶の湯をとりて、かへりて洗面架のうへにおく」
仮名草子・古活字版竹斎(1621‐23頃)下「くゎんとうのじゅんれいと打ち見えて、めんつう荷たわら、そばに置き」
茶道で曲げ物の建水(けんすい)のこと。①の形を模してある。曲水翻ともいう。めんつ。
※宗及茶湯日記(他会記)‐永祿一三年(1570)一二月四日「備前水下 面桶」

めん‐つ【面桶】

〘名〙
咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)下「築地まはりの植木の枝に、めんつをひしとかけてをひたるを」
草人木(1626)中「めんつ置所」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「面桶」の意味・読み・例文・類語

めん‐つう【面×桶】

《「つう(桶)」は唐音
一人前ずつ飯を盛って配る曲げ物。のちには、乞食の持つものをいう。めんぱ。めんつ。
茶道で、曲げ物の水こぼしのこと。1の形を模したもの。めんつ。

めん‐つ【面×桶】

めんつう(面桶)」の音変化。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の面桶の言及

【弁当】より

…行器は円筒形の塗物で数人分のものを収容し,ふたと外へ反った3本の脚をつけたもので,外居とも書いた。個人用の弁当箱は,破子(破籠)(わりご)や曲物(まげもの)の面桶(めんつう)などから変化したもので,行器などが下僕に運ばせるものであったのに対し,みずから携帯するようになり,〈独弁(どくべん)〉と呼ばれた。西鶴の《武道伝来記》巻七の〈新田原藤太〉には,〈此二人は行灯の光りを受て独弁をひらき,小者に煎茶(せんじちや)などはこばせて〉といった文を見ることができる。…

※「面桶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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