面白(読み)おもしろい

精選版 日本国語大辞典 「面白」の意味・読み・例文・類語

おも‐しろ・い【面白】

〘形口〙 おもしろ・し 〘形ク〙
① 見て楽しい。愉快だ。気持がいい。
書紀(720)斉明四年一〇月・歌謡「山越えて 海渡るとも 於母之楼枳(オモシロキ) 今城(いまき)の中(うち)は 忘らゆましじ」
万葉(8C後)四・七四六「生ける世に吾は未だ見ず言絶えてかく(おもしろく)縫へる袋は」
② 興味をそそられる。興味ぶかい。独特の魅力がある。対応したり評価したりする価値がある。
※書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓)「『(オモシロシ)。願はくは復聞かむ』といふ」
歌舞伎青砥稿花紅彩画(白浪五人男)(1862)三幕「おもしれえ、切られよう、いつか一度は二人とも刀の錆になる身体(からだ)
③ 趣がある。風流である。風情(ふぜい)がある。
※万葉(8C後)一四・三四五二「於毛思路伎(オモシロキ)野をばな焼きそ古草に新草(にひくさ)まじり生ひは生ふるがに」
※竹取(9C末‐10C初)「かぐや姫、月のおもしろう出でたるを見て、常よりも物思ひたるさま也」
④ 望ましい状態である。思うとおりで満足させられる。多く打消の語を伴って用いられる。
史記抄(1477)一二苟合とは、面白く気に入るやうな事をば云わぬぞ」
※車屋本謡曲鉢木(1545頃)「けふの寒さをいかにせん。あらおもしろからずの雪の日やな」
⑤ こっけいである。おかしい。また、奇妙である。一風変わっている。
※虎明本狂言・柿山伏(室町末‐近世初)「からすのまねをする、あどわらふて『此やうな面白ひ事はなひ、色々になぶらふ』」
おもしろ‐が・る
〘自ラ(五)四〙
おもしろ‐げ
〘形動〙
おもしろ‐さ
〘名〙
おもしろ‐み
〘名〙

おも‐しろ【面白】

[1] (形容詞「おもしろい」の語幹) おもしろいこと。多く感動表現に用いる。
古語拾遺(807)「あはれ あな 於茂志呂(オモシロ) あなたのし、あなさやけ をけ」
※車屋本謡曲・放下僧(1464頃)「面白の、花の都や」
[2] 〘形動〙 おもしろいさま。興趣の感じられるさま。
※中華若木詩抄(1520頃)中「蒼苔紅紫の字に映して面白なり」

おもて【面】 白(しろ)

※謡曲・蟻通(1430頃)「その中にも神楽を奏し少女(おとめ)の袖、返すがへすも面(おもて)白やな」

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デジタル大辞泉 「面白」の意味・読み・例文・類語

おも‐しろ【面白】

《形容詞「おもしろし」の語幹》おもしろいこと。
「今のあさはかなるも、昔の跡に恥ぢなくにぎははしく、あな―と見ゆる筋はまさりて」〈絵合

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デジタル大辞泉プラス 「面白」の解説

面白

金魚の体色の名。頭の部分だけが白いものをさす。面被りの逆。「めんじろ」とも「めんしろ」とも読む。

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