靴形斧(読み)くつがたおの(英語表記)shoe shaped axe

改訂新版 世界大百科事典 「靴形斧」の意味・わかりやすい解説

靴形斧 (くつがたおの)
shoe shaped axe

中国西南部,インドシナインドネシア分布する斜刃の斧。石斧青銅斧がある。刃が軸に対して左右対称でないため平面形が靴を側面からみた形をなすもので,靴の製作に使われる靴型に形が似ているヨーロッパ新石器時代の靴型斧とは異なる。青銅のものの分布の中心は雲南からベトナムにかけてで,無文のものと有文のものがある。有文のものは,いわゆるドンソン文化の特徴である舟にのった羽人の文様を特徴とし,銅鼓などと共通した一連の文化の所産であることを示す。有文斧には袋部と刃部をつなぐ橋梁部をもつものも存在する。儀礼に用いられるものの様相が強く,その極端に変化したものはインドネシアでも発見されている。石製のものは中国南部の有肩石斧の一部やマレー半島のテンベリン・ナイフTembeling knifeなどがある。これらがすべて起源を同じくするものか否かは不明である。有文の対称的な刃の青銅斧などと併せて考慮する必要があろう。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「靴形斧」の意味・わかりやすい解説

靴形斧
くつがたおの

縦軸に対して刃が斜めにつき,平面形が靴に似た石斧および青銅または鉄製の靴形の斧。前者は新石器時代の東南アジア諸地域に分布する。後者は石斧の系統をひくもので,中国雲南地方から東南アジアに分布する。

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