鞍山製鉄所(読み)あんざんせいてつじょ

山川 日本史小辞典 改訂新版 「鞍山製鉄所」の解説

鞍山製鉄所
あんざんせいてつしょ

満州鉄道会社(満鉄)が満州に開設した大規模な製鉄所。鞍山一帯の鉄鉱資源に着目した満鉄は,1915年(大正4)の対華二十一カ条の要求を契機採掘権を確保し,翌年に日中合弁の採掘会社として振興鉄鉱公司(コンス)を設立。その原料を用いて製鉄事業を行う目的で,18年5月鞍山製鉄所が設立された。当初は不況と原料面の制約から小規模な銑鉄生産にとどまっていたが,貧鉱処理技術の開発をへて,33年(昭和8)鞍山製鉄所は満鉄の子会社昭和製鋼所(1929設立)に移管され,銑鋼一貫生産を発展させた。以後,満州産業開発の中枢に位置し,44年満州製鉄会社に統合,第2次大戦後は中国の代表的製鉄所となった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「鞍山製鉄所」の解説

鞍山製鉄所
あんざんせいてつじょ

中国東北地区,遼寧 (りようねい) 省にある製鉄所
1915年二十一カ条要求で採掘権を獲得し,'18年南満州鉄道株式会社(満鉄)が経営。大陸投資政策の一環として本溪湖 (ほんけいこ) 製鉄所とともに大きな役割を果たした。'33年満鉄から分離し昭和製鋼所に合併された。第二次世界大戦後は,中国の代表的製鉄所となった。

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世界大百科事典(旧版)内の鞍山製鉄所の言及

【鉄鋼業】より

…また第1次大戦前から大戦期にかけて,植民地朝鮮および半植民地〈満州〉(中国東北部)に原料基盤を求めた製鉄経営が成立している。大倉財閥による本渓湖煤鉄公司,三菱財閥による兼二浦製鉄所および半官半民の満鉄(南満州鉄道株式会社)による鞍山製鉄所の3社である。さらに,中国桃冲鉄鉱石の買鉱を前提として東洋製鉄も設立された。…

※「鞍山製鉄所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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