(読み)ナメシ(英語表記)tanning

翻訳|tanning

デジタル大辞泉 「鞣」の意味・読み・例文・類語

なめし【×鞣】

皮をなめすこと。また、なめした皮革

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「鞣」の意味・読み・例文・類語

なめ・す【鞣】

〘他サ五(四)〙 皮革から脂肪を取り去って柔らかにする。
人倫訓蒙図彙(1690)六「革師、鹿革(ししがわ)を滑(ナメシ)足袋羽織等につくるもの、白革やと名乗るなり」

なめし【鞣】

〘名〙 (動詞「なめす(鞣)」の連用形名詞化) 皮革をなめすこと。また、なめした皮革。
史記抄(1477)一七「革と云は、こわい皮ぞ、こちにいため皮と云たり、なめしと云様なものぞ」

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改訂新版 世界大百科事典 「鞣」の意味・わかりやすい解説

鞣 (なめし)
tanning

動物皮に化学的ならびに機械的処理を施して革や毛皮にすることをいう。製造工程を大別すると準備工程(原料皮から革や毛皮として不要な成分や部分を除く作業),なめし工程(なめし剤で皮の主要タンパク質であるコラーゲン繊維,組織を固定安定化し,革や毛皮としての基本的性質を付与する),仕上工程(革や毛皮の物性を改良し商品価値を付与する)の三つになる。これらの工程すべてを含めて広義になめしということが多い。準備工程は〈水づけ〉で原料皮を洗浄,軟化させ,〈フレッシング〉で皮下組織を除去し,〈石灰づけ〉で毛などを含む表皮や脂肪を除き,次いで〈ベーチング〉でタンパク分解酵素によりコラーゲン組織の純化が進められる(毛皮では〈石灰づけ〉〈ベーチング〉は行わない)。この後,なめし工程では,クロム鞣剤(じゆうざい),植物タンニン,グルタルアルデヒド,魚油,アルミニウム鞣剤,ジルコニウム鞣剤,有機合成鞣剤などを単独または2種以上併用してなめしが行われるが,クロムなめしを基礎にしたものが最も一般的である。毛皮では毛を損なうのでなめしは強く行わない。仕上工程はひじょうに多岐にわたるが,染色,加脂(油剤を施して柔軟にする),乾燥,機械的柔軟化,塗装(革),型押し(革)などの組合せにより用途に応じた物性と商品価値を付与する。代表的ななめしの特色をみると,クロム革は耐熱性,柔軟性,弾力性,抗張力が大きく,用途は靴甲革,ハンドバッグ,かばん,衣料,手袋,ベルト,運動用具などほとんどあらゆる革製品にわたる。植物タンニン革は耐水性,耐熱性が劣るが,耐磨耗性,成型性に優れ,靴底,馬具,かばん,ベルト,革手芸用に用いられる。油なめし革(セーム革など)はひじょうに柔軟で吸水,吸油性が大きく,洗濯が可能で,ガソリンのろ過,レンズ磨き,洗車用に用いられる。そのほか,使用するなめし剤に応じて多様な性質が革に与えられる。
 →毛皮
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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【皮∥革】より

…動物からはいだ皮膚を皮といい,皮から毛を除き,なめしてえられる製品を〈なめし革〉〈革(かく∥かわ)〉という。なめしていない生皮から革までを含めて皮革(ひかく)と総称する。…

【毛皮】より

…哺乳類の皮膚をはいで,毛をつけたままなめしたものを毛皮(けがわ∥もうひ)という。これに対して毛を除く処理をしてなめしたものを革(かわ)という。…

※「鞣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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