音声器官(読み)おんせいきかん

精選版 日本国語大辞典 「音声器官」の意味・読み・例文・類語

おんせい‐きかん ‥キクヮン【音声器官】

〘名〙 言葉音声を発する運動に参加する器官総称。肺、気管喉頭咽頭口腔鼻腔などを含む。特に咽頭にある声帯より上の器官を調音構音)器官という。発音器官

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デジタル大辞泉 「音声器官」の意味・読み・例文・類語

おんせい‐きかん〔‐キクワン〕【音声器官】

人間が音声を発する際に活用する器官。気管喉頭こうとう咽頭いんとう声帯鼻腔口腔や、舌・歯・唇など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「音声器官」の意味・わかりやすい解説

音声器官
おんせいきかん

声を出し、ことばを話すための器官。喉頭(こうとう)、舌、唇、下顎(かがく)、口蓋帆(こうがいはん)(軟口蓋)などがそれに関与している。ただし、これらの器官は、音声の生成ばかりでなく、呼吸、嚥下(えんげ)、そしゃくなどにも関与しているのが特徴である。

 声を出すときには、喉頭にある声帯が左右から近接して、肺からの呼気流によって振動し、結果的に呼気流が断続されて音を生じる。思春期に男性の声帯は前後方向に著しく発達するため、男性の声は女性より約1オクターブ低い。喉頭より上方にある器官の働きによって、発音される音の性質はさらに変化して、外界に出ていく。具体的には、喉頭で生じた音に共鳴の性質を与えたり、あるいはさらに別の音源を加えたりすることによって、ことばの音の性質が決定される。たとえば舌は、これを構成している筋肉の活動によって形や位置を変え、共鳴腔の形を調節したり、気流に伴う摩擦音や、閉鎖音の性質を与えたりする。また口蓋帆は、鼻腔(びくう)への連絡の開閉に働いて、鼻音性を調節する。唇や下顎は、共鳴管の開口部の大きさの調節に働き、さらに舌の場合と同じように共鳴腔に狭めや閉鎖をつくって、摩擦音や閉鎖音のような子音成分の生成に関与する。これらの器官の協調運動によって、記号としてのことばの情報が、連続的な音信号となって外界に出される。なおヒト以外の動物では、音声による記号情報の伝達は困難であると考えられている。

[廣瀬 肇]


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