ちょう‐だい チャウ‥【頂戴】
〘名〙
[一]
①
敬意を表わして、いただき物などを目より高くささげ、頭を低くさげること。うやうやしくささげること。
※性霊集‐二(835頃)大唐青龍寺故三朝国師碑「新羅恵日、渉二三韓一而頂戴」
※
太平記(14C後)三九「
黄衣の神人神宝を頂戴
(チャウダイ)して」 〔梁武帝‐金剛般若懺文〕
② もらうことの
謙譲語。賜わること。いただくこと。
※虎明本狂言・政頼(室町末‐近世初)「玉のかんざしいしのおびを、せいらいにあたへたび給へば、かたじけなくも、ちゃ
うだいいたし」
③ 特に、飲食物をいただくこと。
※重刊改修捷解新語(1781)七「御りゃうりちゃうたいつかまつり、ありかたいしあわせにそんしたてまつりまする」
[二]
① (
動詞の
命令形のように用いて) 物を与えてくれること、また、売ってくれることを、親しみの
気持をこめて促す語。ください。
※咄本・春袋(1777)自慢も
相手「けさはいそがしくて、汁をこしらへませぬ。一ぱいてうだい」
② (動詞の連用形に、
助詞「て」の付いた形や、動詞の
未然形に「ないで(んで)」の付いた形に添え、
補助動詞の
命令形のように用いて) ある事を親しみの気持をこめて相手に求める語。
[
語誌](1)(一)①の意味の
漢語から、そのような
動作をして物をもらうことを「頂戴す」「頂戴つかまつる」などと表現するようになり、(一)②の意が生じた。
(2)(二)の
用法は、もと、「
安愚楽鍋〈仮名垣魯文〉三」の「一番の
景物がお酣直しのおとッくりヘイ一寸お酌二番が
お猪口を頂戴
(テウダイ)かネ」のように、手で物をいただくしぐさとともに「頂戴つかまつる」の省略形として用いられたのに始まると思われる。明治以後現代では主として婦人幼児語として用いられる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「頂戴」の意味・読み・例文・類語
ちょう‐だい〔チヤウ‐〕【頂戴】
[名](スル)
1 もらうこと、また、もらって飲食することをへりくだっていう語。「結構な品を頂戴いたしました」「お𠮟りを頂戴する」「もう十分頂戴しました」
2 (多く、女性・子供の用いる語)
㋐物を与えてくれ、また、売ってくれという命令の意を、親しみの気持ちをこめて促すようにいう語。ください。「それを頂戴」「牛肉500グラム頂戴」
㋑「…てちょうだい」の形で補助動詞の命令形のように用いて、相手に何かをしてもらうのを促す気持ちを、親しみをこめていう語。「その新聞を取って頂戴」
3 顔の上にささげ持つこと。
「黄衣の神人神宝を―して、次々に順ふ」〈太平記・三九〉
[アクセント]1はチョーダイ、2はチョーダイ。
[補説]電話の応対などで「お名前を頂戴できますか」などと言うが、これは正しくない。「名前を頂戴する」というのは、例えば主君の名をそのまま、またはその一部を戴いて自分や子供の名にすることである。よって簡略には「お名前をお願いします」、さらには「お名前をお聞き(お伺い)できますか」くらいでよい。平成10年代半ば頃から広がったという。
[類語]食べる・貰う・押し頂く・受ける・受け取る・収める・収受・受納・受領・受給・受贈・譲り受ける・貰い受ける・授かる・頂く・賜る・拝領・拝受・申し受ける
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
普及版 字通
「頂戴」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報