n個の互いに区別のつくものからr個取って,ある順序に並べたものを順列という。そのような並べ方,すなわちn個のものからr個を取った順列が全部でいくとおりあるかは,=n(n-1)……(n-r+1)で与えられる。また,異なるn個のものからr個を取り出し順序は考えないとき,それを組合せという。n個からr個を取る組合せの数はnCrまたはで表され,
である。例えば,10人の人から4人を選んで一列に並べる順列の数は,10P4=10・9・8・7=5040であり,6チームで,各2チームが1回ずつ対戦するリーグ戦を行うとき,試合数はである。
nCrについて次のような等式が成り立つ。
(1)nCr=nCn-r
(2)nCr=n-1Cr-1+n-1Cr
(1)は,n個のものの中からr個を取り出す各組合せと,n個のものの中からそのr個を取りのぞいた残りのn-r個の組合せとが1対1に対応することに相当する。(2)は,n個のものからr個を取る組合せの数は,そのうち特定の1個を含む組合せの数n-1Cr-1と,特定の1個を含まない組合せの数n-1Crの和に等しいということに相当する。
n個の相異なるものから重複を許してr個取り出して並べる順列を重複順列という。この重複順列の数は,nrである。また,n個の相異なるものから重複を許して,r個取る組合せを重複組合せという。その数はnHrで表され,nHr=n+r-1Crである。nHrはn変数の単項式のうち次数がrであるものの数と一致する。例えば3変数x,y,zの三次の単項式は全部で,x3,y3,z3,x2y,x2z,xy2,y2z,xz2,yz2,xyzの10個であるが,これは3H3=5C3=10と計算することができる。また,rが一つの自然数であるとき,z1+z2+……+zn=rの負でない整数の解(z1,z2,……,zn)の数はnHrである。
p個のミカン,q個のリンゴ,r個のメロン,全部合わせてn=p+q+r個の果物を一列に並べるしかたは,n!/(p!q!r!)とおりである。この順列の数は,(x+y+z)nを展開したときのxpyqzrの係数に等しい。もっと多くの種類のあるときも同様である。
4個のものを四つの場所におく方法は,4!=24とおりであるが,いま,この四つのものを円周に沿って並べる場合,例えば次のような四つの順列は,
A,B,C,Dの順序関係は同一であるので同一のものと考えることにすれば,4個のうちのどれか一つ,例えばAの場所を決めておき,残りの三つの並べ方を考えればよいから,この順列の数は(4-1)!=6である。このような順列を円順列という。n個のものからr個取って円周上に並べる円順列の数は,
n個の異なった玉からr個を取ってじゅずを作るとき,玉の並べ方の数は,円順列の半分,で与えられる。じゅずを裏返したとき,同一円順列となるものは同じじゅずだと考えられるからである。ただし,r=1,2のときは特別で,それぞれとなる。
執筆者:杉江 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…また同じころ,イギリスのJ.グラウントによる生命表の作成などの統計的研究も確率論の発生を促したとされる。次いで18世紀に入り,ヤコブ・ベルヌーイの遺稿が,甥のニコラウスによってまとめられ,《推測法》(1713)として出版されたが,そこには順列,組合せを用いた確率の話が出てきて,しだいに確率論としての形態を整えてきたのであった。 ここでも創生期のように有限個の事象を扱った確率から話を始める。…
※「順列組合せ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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