順序数(読み)じゅんじょすう

精選版 日本国語大辞典 「順序数」の意味・読み・例文・類語

じゅんじょ‐すう【順序数】

〘名〙
① 物に番号をつける際、自然数だけでは足りない場合にも番号がつけられるように自然数を拡張したもの。そのはじめの部分は 1, 2, 3, …。ω, ω+1, ω+2…。番号数。オージナル数。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「順序数」の意味・読み・例文・類語

じゅんじょ‐すう【順序数】

自然数機能うち、物の順序順番を示すときに使う数。序数。番号数。オーディナル数。→基数

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「順序数」の意味・わかりやすい解説

順序数
じゅんじょすう

n個の元をもつ有限集合Aは、その元に番号をつけて、{a0, a1,……, an-1}と表すことができる。これは、集合Aの元と、nより小さい自然数の集合{0, 1,……, n-1}との間に、並べ方(順序)を含めて互いの元がちょうど一つずつ対応するようにしたものである。これらの集合の順序数はnであるという。空集合の順序数は0と定める。順序数とはこのように、集合の元に一定の順序で番号づけを与えたときの、その集合の順序の型を与えるもので、この概念無限集合にまで広げたものである。

 自然数全体の集合{0, 1, 2,……}は、大小の順序で最大元がない。この集合の順序数をωと表し、最小の無限順序数といい、各自然数nに対してn<ωとする。ωより大きい順序数として、
  ω+1,ω+2,……,ω+ω(=ω・2),……,ω+ω+……(=ω・ω=ω2),ω2+1,……,ω3,……,ωω,……
などがある。これらはそれぞれ、自分自身より小さい順序数全体の集合の順序数を表すので、順序数と、それより小さい順序数全体の集合を同一のものと考えると便利である。すなわち、
  ω={0, 1, 2,……}
  ω+1={0, 1, 2,……,ω}
  ωω={0, 1, 2,……,ω,ω+1,……,ω2,……,ω3,……}
である。これらの集合は、どの二つの異なる元についても、一方は他方より大きく、さらに、その部分集合にも最小の元がある。このように、集合Aのどの二つの元の間にも順序がついていて、しかも、どの部分集合にもこの順序で最初の元があるとき、Aはこの順序で整列集合であるという。順序数は整列集合であるが、{……,-2,-1, 0, 1, 2,……}は最小元がないので整列集合ではない。整列集合は、その順序を順序数の大小関係と対応させると、その順序を保ったまま、ある順序数と互いにちょうど一つずつの元を対応させることができる。したがって、順序数は整列集合の順序の型を表すということができる。{1, 3, 5,……, 2, 4, 6,……}は左から右への順序で整列集合で、順序数
  ω・2={0, 1, 2,……,ω,ω+1,ω+2,……}
と同じ型で、その順序数はω・2である。また、ω番目、(ω+1)番目の元はそれぞれ2、4である。

[西村敏男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「順序数」の意味・わかりやすい解説

順序数 (じゅんじょすう)
ordinal number

ふつう番号をつけるときは1,2,3,……と自然数で番号をつけるが,数学ではもっと多くの番号が必要になることがある。そこで,自然数全体の次にwを考え,そのあとw+1,w+2,……,2w,2w+1,……というような番号づけが考えられる。そのように一般化した番号を順序数という。w,2wのように,それより小さいものはあるが,直前のもののない順序数を極限数という。

 正確には,整列集合(〈集合〉の項目を参照)の集りを考え,整列集合の型を順序数と定義し,二つの整列集合WUとについて,Uのある元uによる{xUxu}とWとが同じ型であるとき,Wの型を表す順序数がUの型を表す順序数より小さいと定義する。なお,n(<∞)個の元からなる整列集合の型をnで表すことにしているので,順序数は0(空集合の型)から始まる。整列可能定理によれば,どんな大きい濃度についても,その濃度をもつ整列集合がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「順序数」の意味・わかりやすい解説

順序数
じゅんじょすう
ordinal number

ものの個数を表す集合数に対し,並んでいる順序を表す数。序数ともいう。一般には,整列集合の順序型を順序数ということで,無限順序数を含む議論が展開できる。たとえば,表の右側の列が順序数である。整列集合を M,その順序型を∘(M)で示す。第I型の順序型すなわち順序数は自然数であって有限順序数といわれ,第II型の順序数は有限順序数に続いてすぐあとにくるもので,超限順序数といわれる。可算無限集合に対応するこのような超限順序数を初めて考えたのはゲオルク・カントルである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の順序数の言及

【集合】より

…〈どんな集合Mに対しても,それに適当な順序を与えて整列集合にすることができる〉。
[順序数]
 一般に二つの順序集合M,Nが同型であるとは,MからNへの1対1対応(全単射)fであってabf(a)>f(b)の成り立つものが存在するときにいう。例えば,自然数全体の集合Nを考えると,{2nnN}とNは同型であり,NN×N(辞書式順序による)とは同型ではない。…

※「順序数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android