風天(読み)ふうてん

精選版 日本国語大辞典 「風天」の意味・読み・例文・類語

ふう‐てん【風天】

(Vāyu の訳語) 十二天または八方天の一つ。古くベーダで火天、月天とともに三神の一つとされ、名誉、福徳などを授ける神であったが、のちに八方天の一つとして西北方の守護神となり、仏教にとり入れられ、また、密教でも十二天または八方天の一つとなった。その姿は胎蔵界曼荼羅では老人の形をとり、鬢髪白く、赤身甲冑をつけ、右手幢幡を持ち、(くゆざ)に坐る。ほかに青牛に坐る例もある。〔伊呂波字類抄鎌倉)〕

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デジタル大辞泉 「風天」の意味・読み・例文・類語

ふう‐てん【風天】

古代インドの風の神。名誉・福徳・子孫長生の神。仏教では、西北方の守護神。十二天・八方天の一。白髪・赤身で甲冑を着け、右手にはたを持つ。風神。風大神。

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世界大百科事典(旧版)内の風天の言及

【十二天】より

…12の天部は四方(東西南北)と四維(南東,南西,北西,北東)の8方と上方,下方の10方位に配置される十尊と日天(につてん),月天(がつてん)である。すなわち,帝釈天(たいしやくてん)(東),火天(かてん)(南東),閻魔天(えんまてん)(南),羅刹天(らせつてん)(南西),水天(すいてん)(西,バルナ),風天(ふうてん)(北西),毘沙門天(びしやもんてん)(北),伊舎那天(いしやなてん)(北東),梵天(ぼんてん)(上),地天(ちてん)(下),日天,月天となる。十二天像は画像で表現される。…

【バーユ】より

…ヒンドゥー教の風神。〈風天〉と漢訳される。バーユまたはバータVātaは,すでにインド最古の聖典《リグ・ベーダ》中でたたえられる代表的な自然神の一つである。…

※「風天」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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