食作用(読み)しょくさよう(英語表記)phagocytosis

翻訳|phagocytosis

精選版 日本国語大辞典 「食作用」の意味・読み・例文・類語

しょく‐さよう【食作用】

〘名〙 細胞環境から固形粒子を取り入れる現象根足虫類などの偽足運動による食餌様式など。狭義には白血球病原菌異物を細胞内にとり入れて溶かしてしまう働きをいい、食菌作用ともいう。食細胞活動

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デジタル大辞泉 「食作用」の意味・読み・例文・類語

しょく‐さよう【食作用】

細胞が固形物内部に取り込んで分解すること。エンドサイトーシス一つ。食作用をもつ細胞を食細胞と呼ぶ。食菌作用。貪食ファゴサイトーシス。→飲作用
[補説]細胞の表面に付着した物質は、細胞膜に包み込まれて細胞内に陥入し、ファゴソームと呼ばれる小胞として細胞内に入り、リソソーム液胞と融合して分解される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「食作用」の意味・わかりやすい解説

食作用
しょくさよう
phagocytosis

細胞が周囲の固形物を細胞内に取り込む作用。貪食ともいう。細胞膜表面に小粒子が接触すると,細胞膜は粒子を包み込みつつ細胞内に落ち込み,小胞となる。これを食作用胞(ファゴソーム)という。ファゴソームはリソソームと融合して,その加水分解酵素によって分解される。アメーバ類の場合,食作用とは摂食の手段であるが,遊走する食細胞(好中球〈小食細胞〉,マクロファージ大食細胞〉)の場合,侵入した異物を処理する防御機構の意味をもつ。つまり食作用とは,摂取した菌体を蛋白分解酵素で細胞内消化する,抗体産生に並ぶ細菌感染に対する防御作用である。また単核白血球組織球などのマクロファージは,寄生性原生動物,色素顆粒,組織細胞の破片や,老化変性した血球をも捕食する。その食細胞活動は生体防衛および老廃物処理の機能をもち,医学的に重要である。(→飲細胞運動

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百科事典マイペディア 「食作用」の意味・わかりやすい解説

食作用【しょくさよう】

食細胞運動とも。細胞が外部から大型(0.1μm以上)の固形物を取り入れる活動をいう。それより小さい粒子や液体を取り入れる活動は飲作用と呼ばれるが,現在では,両者をまとめて〈エンドサイトーシス〉と呼ぶことが多い。アメーバなどでみられる摂餌様式を原形とし,大型の細胞では一般に偽足形成を伴う。脊椎動物の白血球(特に好中球)などの細菌に対する食作用は食菌作用ともいわれ,免疫と並んで細菌感染に対する生体の重要な防衛反応である。→食細胞アメーバ運動
→関連項目消化マクロファージメチニコフ

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栄養・生化学辞典 「食作用」の解説

食作用

 →ファゴサイトーシス

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世界大百科事典(旧版)内の食作用の言及

【エンドサイトーシス】より

…エンドサイトーシスとは細胞が液を飲んだり,餌を食べたりして外界から物質を取り込む作用の総称である。かつては液を飲むことを飲作用pinocytosis,食べることを食作用phagocytosisと呼び分けてきたが,現在では両者が共通の機能・機構をもつことから考えて同じ名称がのぞましいということになっている。ここでは便宜上,両者を区別して説明する。…

※「食作用」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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