飲光(読み)オンコウ

デジタル大辞泉 「飲光」の意味・読み・例文・類語

おんこう〔オンクワウ〕【飲光】

真言宗の僧、慈雲じうんいみな

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精選版 日本国語大辞典 「飲光」の意味・読み・例文・類語

おんこう オンクヮウ【飲光】

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「飲光」の意味・わかりやすい解説

飲光
おんこう
(1718―1804)

江戸時代の真言宗の僧。戒律の復興、サンスクリット梵学(ぼんがく))研究で知られ、「日本の小釈迦(しょうしゃか)」と称された。号は百不知童子(ひゃくふちどうじ)、百福(ひゃくふく)道者、双竜叟(そうりゅうそう)、葛城(かつらぎ)山人。通称、慈雲尊者(じうんそんじゃ)、慈雲さん、葛城尊者などという。幼名は満次郎。父は上月安範(かみつきやすのり)(1665―1730)、母は桑原氏。七男として大坂中之島の高松藩蔵屋敷(くらやしき)で生まれ、13歳で忍綱(にんごう)(1671―1750)に就いて出家得度した。18歳で京都の伊藤東涯(いとうとうがい)に儒学を、24歳のとき信州(長野県)の大梅(だいまい)禅師(1682―1757)に禅を学ぶ。諸国を巡って学問修行に励み、1744年(延享1)、摂津大阪府)高井田長栄寺で正法律(しょうぼうりつ)を創唱して、釈尊(しゃくそん)に帰れをモットーとした。41歳のとき生駒(いこま)山中に双竜庵(あん)を結び、10年をかけて『梵学津梁(しんりょう)』1000巻の大著を完成。また京都阿弥陀(あみだ)寺で十善戒(じゅうぜんかい)を説き、河内(かわち)(大阪府)高貴寺を正法律の根本道場とした。文化(ぶんか)元年、阿弥陀寺において87歳で示寂。著書は、ほかに『十善法語』『方服図儀』などがある。また、神道の研究で知られ、雲伝(うんでん)神道を唱えた。

[宮坂宥勝 2017年5月19日]

『宮坂宥勝校注『日本古典文学大系83 仮名法語集』(1964・岩波書店)』『長谷宝秀編『慈雲尊者全集』17巻・補遺1巻(復刻版・1974・思文閣出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「飲光」の意味・わかりやすい解説

飲光
おんこう

[生]享保3(1718).7.28. 大坂
[没]文化1(1804).12.22. 京都
江戸時代中期の真言宗の僧。正法律の開祖。百不知童子と号し,通称慈雲尊者。 12歳で出家し,京都,奈良に遊学して,経史,詩文,密教,顕教,悉曇 (しったん) ,律,禅など広く学んだ。 30歳頃,鑑真以来日本では授戒法の一定していないのを憂えて正法律を唱えた。その後梵学をきわめ,『梵学津梁』 (1000巻) を編集。寛政 10 (1798) 年に河内の高貴寺に移り,ここに戒壇を築いて正法律一派の本山とした。晩年,雲伝神道 (葛城神道 ) を説き,やがて京都阿弥陀寺に移りここで亡くなった。著書は『方服図儀』『南海寄帰伝解纜鈔』『十善法語』など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「飲光」の解説

飲光 おんこう

1718-1805* 江戸時代中期-後期の僧。
享保(きょうほう)3年7月28日生まれ。森川(上月)安範(やすのり)の子。真言宗。伊藤東涯(とうがい)に儒学をまなび,奈良で顕密二教をきわめた。河内(かわち)(大阪府)の長栄寺で,戒律の復興をめざし正法律(しょうぼうりつ)を創唱。晩年には雲伝(うんでん)神道をとなえた。文化元年12月22日死去。87歳。大坂出身。字(あざな)は慈雲。号は百不知童子,葛城山人。編著に「梵学津梁(ぼんがくしんりょう)」,著作に「十善法語」など。
【格言など】妄念を嫌うべからず。妄念即菩提なり(「慈雲短編法語」)

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世界大百科事典(旧版)内の飲光の言及

【慈雲】より

…江戸後期の真言宗の僧。諱(いみな)は飲光(おんこう),百不知童子,葛城山人などと号し,世人から慈雲尊者と敬われる。俗姓上月氏。…

※「飲光」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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