首人形(読み)くびにんぎょう

精選版 日本国語大辞典 「首人形」の意味・読み・例文・類語

くび‐にんぎょう ‥ニンギャウ【首人形】

〘名〙 どろを固めて首だけを作り、彩色して竹のくしにさした人形
少年(1911)〈谷崎潤一郎〉「さまざまの男女の姿をした首人形を」

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デジタル大辞泉 「首人形」の意味・読み・例文・類語

くび‐にんぎょう〔‐ニンギヤウ〕【首人形】

泥を固めて首だけ作り、彩色して竹のくしにさした人形。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「首人形」の意味・わかりやすい解説

首人形
くびにんぎょう

土製などの首に竹串(ぐし)、木串を挿したもの。合点首、串人形ともいう。首にはほかに、木、練り物、張り子などを用いる。1686年(貞享3)刊の『好色一代女』(井原西鶴(さいかく)著)に、「衣類と首は各別に違ひ、合点頭(がてんがしら)の如(ごと)し」とあり、首人形は衣装とは別に独立したものであった。合点頭は合点首ともいい、首ばかりの人形のことで、首人形の柄(え)の上部に十字に細長い薄板を置いて人形の肩とし、棒を持ち、首の後部の紐(ひも)を引くと首が合点する(うなずく)仕掛けになっている。1773年(安永2)刊の玩具(がんぐ)絵本『江都二色(えどにしき)』(北尾重政(しげまさ)画)にも、この人形玩具の合点首系統のものとして、金平(きんぴら)人形、野呂間(のろま)人形の図が掲載されており、江戸時代の子供の遊び道具として親しまれた。首人形とよばれるようになったのは明治期以後で、その種類には人形遊びや姉様遊びのほか、からくり仕掛けのもの、浄瑠璃(じょうるり)人形芝居の影響から生まれてきたものなどがあり、現在も全国各地に郷土玩具としてみられる。土製で姉様遊び首人形は、弘前(ひろさき)(青森県)、仙台堤(宮城県)、柏(かしわ)(千葉県)、清水(しみず)(静岡県)、西尾・起(おこし)(愛知県)、松山(愛媛県)、大分(大分県)などの各地にある。からくり仕掛けのものには、鳥取(鳥取県)の要蔵でこ、熊本(熊本県)のお化け金太などがある。浄瑠璃人形芝居ものには、佐渡(新潟県)の野呂間人形撫養(むや)(徳島県)の首でこなどがある。

[斎藤良輔]


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