驢鞍橋(読み)ろあんきょう

精選版 日本国語大辞典 「驢鞍橋」の意味・読み・例文・類語

ろ‐あんきょう ‥アンケウ【驢鞍橋】

[1] 〘名〙 驢馬の鞍のくらぼね。
[2] 江戸時代の仏教書。三巻。鈴木正三著。恵中編。万治三年(一六六〇)刊。鈴木正三最晩年の八年間、折に触れ時に随って物語ったことを、侍者恵中が書き記したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「驢鞍橋」の意味・わかりやすい解説

驢鞍橋
ろあんきょう

江戸初期の教団外的禅僧鈴木正三(しょうさん)(俗名は正三(しょうぞう))の語録。三巻。正三は徳川家康秀忠(ひでただ)に仕えたが中年で出家し、晩年の1648年(慶安1)から55年(明暦1)に没するまで江戸に在住して布教にあたった。本書はその言行門人の恵中(えちゅう)がまとめたもの。正三自身の求道体験に基づいて、二王禅、勇猛禅、果たし眼(まなこ)念仏(一念不乱の念仏)、日常の生活のうちに死に習うことを体得しようとする死に習い仏法を勧め、同時代の一般禅僧を手厳しく批判した。さらに隠棲(いんせい)を尊ぶ出家の中世的価値を否定、武士農民、被差別民に及ぶ世俗の職分に即しての修行を説く。また寺院住持をも幕府役人にし、仏法によって理想的な統治支配を期する提言などがある。1660年(万治3)に出版された。

[菅原昭英]

『『鈴木正三道人全集』全×巻(1962・山喜房仏書林)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「驢鞍橋」の意味・わかりやすい解説

驢鞍橋
ろあんきょう

江戸時代初期の禅僧鈴木正三の法語類を弟子の恵中が編録したもの。3巻。慶安1 (1648) 年成稿,万治3 (60) 年刊。三河藩の武士として戦場を駆け回った経験から,正三が死によって生きる真実を体得し,煩悩破砕の勇猛心を死の心法に見出し仁王の機を修すべきはただ死ぬことを仕習うべきであるとし,みずからの仏法を死習い仏法,果報仏法と呼び,坐禅と念仏をも強調している。

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