骨髄バンク(読み)こつずいバンク

精選版 日本国語大辞典 「骨髄バンク」の意味・読み・例文・類語

こつずい‐バンク【骨髄バンク】

〘名〙 (バンクはbank) 白血病や重症再生不良性貧血などの治療として有効な骨髄移植のため、ヒト白血球型抗原(HLA)を登録しておくシステム

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百科事典マイペディア 「骨髄バンク」の意味・わかりやすい解説

骨髄バンク【こつずいバンク】

骨髄移植のための骨髄提供者(ドナー)の登録などを請け負う機関。1991年,厚生省は全国ネット組織として〈骨髄移植推進財団〉を発足させた。骨髄移植は,白血病再生不良性貧血,先天性免疫不全症など,骨髄赤血球や白血球の成分をつくる組織)機能の不全による病気にもっとも有効な治療法である。 骨髄移植を行うにあたっては,ドナーと移植を受ける患者レシピエント)のHLAヒト白血球抗原)が一致する必要があるが,その適合率は極めて低く,家族で4分の1,それ以外は500〜1万人に1人の割合である。患者にとっては,適合するドナーとめぐりあえるかどうかが最大の問題であり,より多くのドナー登録者が必要とされるのはこのためである。2008年4月現在,ドナー登録者数は30万8872人,患者登録数は2458人,これまでに9323件の移植が行われている。 ドナー登録者数は増えてはきているが,問題点として,ドナーがバンク登録をする際に,HLAの型を調べなければならず登録自体に時間がかかることや,移植手術で骨髄液を採取するには,入院をして全身麻酔で行われなければならないこと,術後にも休暇を取らなければならないことなどが指摘されている。このため,移植に必要な期間を休暇扱いとするドナー休暇制度(骨髄提供者休暇制度)を設ける企業も増えている。最近では,骨髄移植にかわって臍帯血移植を行うケースも増え,臍帯血バンクも設立されている。→組織適合抗原造血幹細胞移植
→関連項目臓器バンク

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「骨髄バンク」の意味・わかりやすい解説

骨髄バンク
こつずいバンク
bone marrow bank

白血病や免疫不全などの治療に行われる骨髄移植の推進のために設けられた制度。骨髄移植は抗癌剤による治療成績を上回るため,より多くの実施が望まれているが,患者と骨髄提供者 (ドナー) の間で主要組織適合抗原 (HLA) と呼ばれる白血球の型が一致しないと,移植の成功率が低下してしまう。 HLAが一致する確率は兄弟姉妹でも4分の1,非血縁者間では数千人に1人程度まで落ちるため,1991年 12月,骨髄移植推進財団 (いわゆる骨髄バンク) が発足し,ドナー登録に力が入れられるようになった。5万人が登録すれば約 80%の患者に適合するドナーが見つかると推計されている。 93年 11月現在の登録数は3万 4000人である。

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