高分子ウィスカー(読み)こうぶんしウィスカー(英語表記)polymer whisker

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高分子ウィスカー」の意味・わかりやすい解説

高分子ウィスカー
こうぶんしウィスカー
polymer whisker

針状に成長させた高分子単結晶ポリオキシメチレン,ポリパラオキシベンゾイルの,直径1~3μm,長さ 30~80μmのウィスカー (ひげ結晶) が,それぞれ特定の温度,濃度のモノマー希薄溶液からの重合により得られている。重合過程で高分子鎖の化学的な構造だけでなく,物理的な配列も同時に制御する技術として注目される。ウィスカー中で分子鎖は長さ方向に伸び切って配列し,結晶中の欠陥が少ないため,理論値に近い高強度・高弾性率を持つ材料が得られる。ポリオキシメチレンウィスカーは複合材料の強化材として,スピーカコーンに応用されている。なお,無機・金属材料では,スズグラファイトホウ素などのウィスカーが工業的に生産され,耐熱,高強度複合材料に利用されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android