高千穂峰(読み)たかちほのみね

精選版 日本国語大辞典 「高千穂峰」の意味・読み・例文・類語

たかちほ‐の‐みね【高千穂峰】

鹿児島県宮崎県との県境にある円錐状複式火山。西側二つ寄生火山をもつ。天孫降臨伝説の地で山頂に天の逆鉾(さかほこ)が立てられている。ふもとに温泉が多い。標高一五七四メートル。矛峰。東峰

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デジタル大辞泉 「高千穂峰」の意味・読み・例文・類語

たかちほ‐の‐みね【高千穂峰】

宮崎県南西部、霧島山の高峰。標高1574メートル。天孫降臨の地といわれ、山頂に天逆鉾あまのさかほこがある。

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日本歴史地名大系 「高千穂峰」の解説

高千穂峰
たかちほのみね

都城市・小林市・西諸県にしもろかた高原たかはる町、鹿児島県姶良あいら霧島きりしま町にまたがる霧島山中の火山。標高は一五七四メートル、西に御鉢おはち、東に二つ石ふたついし(二子石・二つ岩などともいう)側火山を従える。御鉢の山頂火口部と西部斜面は鹿児島県に属する。コニーデ型の秀麗な火山であるが、山麓に広く溶岩台地を分布させていることや山頂部が粘性の高い溶岩からなることから、二重式火山であると考えられている。火山としての活動時期は、二つ石が最も古く更新世にさかのぼり、高千穂峰と御鉢は完新世の噴火活動によって形成された。とくに御鉢は、西に位置する新燃しんもえ岳とともに歴史時代に盛んに噴火したことが記録に残されている。最後の噴火は大正三年(一九一四)であるが、現在でも御鉢の噴火口では噴気活動が続いている。東部山麓には霧島山中で最大の湖池と池がある。

霧島山とも通称され、古くはほこの(鉾)峰、ひがし峰とも称された。この古称は高千穂峰の名称も含めて天孫降臨神話にちなむ山名で、山頂には瓊瓊杵尊が降臨の際建てたと伝える銅質の天ノ逆鉾が立つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高千穂峰」の意味・わかりやすい解説

高千穂峰
たかちほのみね

宮崎県の南西部、鹿児島県との境にある韓国(からくに)岳(1700メートル)に次ぐ霧島山(きりしまやま)第2の高峰。標高1574メートル。典型的なコニーデ型複合火山で、西部に御鉢(おはち)(鹿児島県)、東部に二ツ石(ふたついし)(二子石)の寄生火山を従えた美しい山容である。東麓(とうろく)には火口湖御池(みいけ)、北西部は中岳、新燃(しんもえ)岳から韓国岳に至る火山が連なっている。御鉢は直径東西約550メートルのホマーテ型の広い火口があり、深さは約200メートルある。二ツ石は直径約500メートルの火口があるが、東部は侵食が進んで形は不明瞭(ふめいりょう)である。高千穂峰は円錐(えんすい)状の山頂で、火口は完全にふさがっている。高千穂峰の火山活動の歴史は比較的新期に属し、御鉢は今日も噴気活動を続けている。

 霧島噴火の記録は742年(天平14)以来36回を数えるが、御鉢の噴火と確認できるのは13回で、最近年の記録は1913~1914年(大正2~3)である。これらの噴火によって、霧島岑神社(きりしまみねじんじゃ)などが焼失した記録が残る。このため、なだらかな山麓は厚い自然林に覆われるが、およそ標高1000メートル以上は赤褐色の地肌がむきだしになっている。

 山頂には天ノ逆鉾(あまのさかほこ)があり、銅製で長さ140センチメートル、霧島山信仰の御神体である。また、高千穂峰は、宮崎県高千穂町とともに、天孫降臨神話の伝説地であるが、諸説があり確定はしていない。南西部山麓鹿児島県側に霧島神宮、東部山麓宮崎県側に霧島東神社、狭野(さの)神社があるが、霧島岑神社の噴火による被災の後、それぞれ分かれて設立されたという。高千穂河原(がわら)より山頂まで徒歩約1時間30分。

[横山淳一]


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改訂新版 世界大百科事典 「高千穂峰」の意味・わかりやすい解説

高千穂峰 (たかちほのみね)

宮崎・鹿児島県境の霧島火山群(霧島山)の南端にある複式成層火山。標高1573m。平地から一気にそびえ立つ秀麗な山容で,ニニギノミコトが五伴緒(いつとものお)を従えて高天原(たかまがはら)から降り立ったという天孫降臨神話の山とされており,山頂には天の逆鉾(さかほこ)と称するものがある。山体はカンラン石,輝石安山岩などからなり,主峰の両わきに御鉢,二ッ石の二つの寄生火山がある。御鉢には直径500m,深さ約150mの火口がある。ツツジの群落が各所にみられ,東山麓の御池(みいけ)という火口湖付近には野鳥が多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高千穂峰」の意味・わかりやすい解説

高千穂峰
たかちほのみね

鹿児島県宮崎県の県境にある霧島火山群の一峰。標高 1574m。霧島火山群の南東端にある円錐火山。東に二ツ石,西に御鉢の寄生火山がある。おもに輝石安山岩からなる成層火山で裾野が広い。御鉢は 1913年大爆発を起こし,麓に御池,小池の火口湖を形成。ミヤマキリシマが群生し,麓には温泉が多い。南西部山麓に霧島神宮,東部山麓に霧島東神社,狭野神社がある。天孫降臨の伝説の地で山頂に天の逆鉾(さかほこ)がある。霧島錦江湾国立公園に属する。

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百科事典マイペディア 「高千穂峰」の意味・わかりやすい解説

高千穂峰【たかちほのみね】

宮崎・鹿児島県境,霧島火山群南部の成層火山。標高1574m。天孫降臨伝説の地で,山頂に天ノ逆鉾(あまのさかほこ)がある。御鉢,二ッ石の2寄生火山があり,御鉢の直径約500mの火口は1913年爆発。ミヤマキリシマ,マイヅルソウなどが生育,山麓に多くの温泉,火口湖の御池があり,霧島錦江湾国立公園に属する。
→関連項目霧島神宮

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事典 日本の地域遺産 「高千穂峰」の解説

高千穂峰

(鹿児島県霧島市;宮崎県西諸県郡高原町;宮崎県都城市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産指定の地域遺産。

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世界大百科事典(旧版)内の高千穂峰の言及

【霧島山】より

…これらの楯状火山の山体上および周辺地域では,おもに更新世末以降現在に至るまでの期間に,多くの場所で噴火活動が起こり,安山岩質の比較的小規模な火山体や火口が多数形成された。韓国岳,大浪池(1411m),新燃(しんもえ)岳(1421m),中岳(1332m),御鉢(おはち)(約1400m),高千穂峰(1574m)などの霧島火山中央の山頂部を構成する山体,並びに飯盛山(846m),甑(こしき)岳(1301m),夷守(ひなもり)岳(1344m),大幡山(1353m)などの山体,さらに六観音御池(ろくかんのんみいけ),白紫(びやくし)池,不動池,大幡池,御池(みいけ)などの火口はこの時期に形成された。これらの火口や火山体は,生成時期が新しいため,いずれも山体の開析はあまり進んでいない。…

※「高千穂峰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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