日本大百科全書(ニッポニカ) 「高村象平」の意味・わかりやすい解説
高村象平
たかむらしょうへい
(1905―1989)
経済史家。東京都出身。慶応義塾大学経済学部卒業後、母校の教授となる。日本の歴史学界で未開拓であった北ドイツ中世諸都市の商人団体ハンザの研究を、ドイツ留学による原史料渉猟によって深めた。その成果は『ドイツハンザの研究』(1959)にまとめられたが、北ドイツの諸都市の特異な同盟の研究を通じ、ドイツ中世の都市制度についても、『ドイツ中世都市』(1959)のような先駆的な研究がある。ほかにも『日葡(にっぽ)交通史』(1942)や『アメリカ資本主義発達史』など多方面の分野の著書がある。慶応義塾の塾長(1960~65)として私学の振興にも貢献し、さらに中央教育審議会の会長として初等・中等教育の改革に取り組んだ。
[寺尾 誠]