髻華(読み)うず

精選版 日本国語大辞典 「髻華」の意味・読み・例文・類語

うず【髻華】

〘名〙 髪や冠にさした飾り。主として上代に行なわれた風俗。
① 木や草の枝葉や花を折って髪にさして飾りとしたもの。本来は単なる装飾としてではなく、髪にさすことによって草や花の生命力を身につけようとする、感染呪術の一つ。挿頭(かざし)
古事記(712)中・歌謡「熊白檮(くまかし)が葉を 宇受(ウズ)に挿(さ)せ その子」
② (①から) 金、銀、銅で造ったものや、鳥の尾、豹(ひょう)の尾を冠につけ、飾りとしたもの。冠位や時代によって区別がある。
書紀(720)推古一一年一二月「始めて冠位(かぶりのくらゐ)を行ふ。〈略〉唯だ元日(むつきのついたちのひ)のみには髻花を着(さ)す〈髻花、此をば于孺(ウズ)と云ふ〉」

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デジタル大辞泉 「髻華」の意味・読み・例文・類語

うず【髻華】

古代草木の枝葉や造花などを冠や髪の上に挿して飾りとしたもの。かざし。
「くまかしが葉を―に挿せその子」〈・中・歌謡〉

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「髻華」の意味・わかりやすい解説

髻華
うず

古代、儀式のとき、冠(かんむり)につけた飾りの一種。髪を頭上に結って束ねた根元を髻(もとどり)というが、冠をかぶり、髻の位置で冠と同質の絹で結び、そこに髻華と称する花形の飾りを挿した。『日本書紀』推古(すいこ)天皇19年(611)の項に、「各髻華を著せり。則(すなわ)ち大徳、小徳は並びに金(こがね)を用い、大仁(だいにん)、小仁は豹(ひょう)の尾を用い、大礼(だいらい)より以下は鳥の尾を用う」とある。また孝徳(こうとく)天皇3年(647)の項には、鐙冠(つぼこうぶり)につける髻華(鈿(うず))には、金、銀、銅を用いたとある。なお、平安時代以降に用いられた挿頭華(かざし)は、この髻華からきたものと思われる。

[高田倭男]

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百科事典マイペディア 「髻華」の意味・わかりやすい解説

髻華【うず】

儀式のとき冠にさした飾物。推古朝に定められて,身分により金,豹尾(ひょうのお),鳥尾(とりのお)が用いられ,孝徳朝には金,銀,銅が用いられた。古く頭髪に草花枝葉をさした習慣中国の制にならって冠の飾りとなったもので,後にはこれが挿頭(かざし)となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「髻華」の意味・わかりやすい解説

髻華
うず

古代の頭部の装飾。木や草の枝や花,葉を頭に差したが,推古 11 (603) 年,冠位十二階が制定されてからは,服色,冠色に従って金,豹尾などを差すようになった。その初見は,『日本書紀』推古天皇 19年の条。平安時代の挿頭 (かざし) の花はその余風。

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世界大百科事典(旧版)内の髻華の言及

【髪飾】より

…材料も多種多様で,布,皮革,羽毛,花枝,貝類,獣の角や牙,貴金属類などあらゆるもので作られている。
[日本]
 日本古代の代表的髪飾としては,頭を巻く(かずら),さす髻華(うず)や挿頭(かざし)がある。髻華というのはうず高いもの,すなわち髻(もとどり)にさすものを本来意味し,挿頭は髪にさすものを意味した。…

※「髻華」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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