鬼次拍子舞(読み)おにじひょうしまい

精選版 日本国語大辞典 「鬼次拍子舞」の意味・読み・例文・類語

おにじひょうしまい おにジヒャウシまひ【鬼次拍子舞】

歌舞伎所作事。長唄。初世杵屋正次郎作詞作曲。「月顔最中名取種(つきのかおもなかのなとりぐさ)」の通称。寛政五年(一七九三江戸河原崎座初演。平判官康頼の妻松の前が山中長田太郎景宗に会い、拍子舞のあと、色仕掛けで凶器を仕込んだ笛を奪い返す。

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改訂新版 世界大百科事典 「鬼次拍子舞」の意味・わかりやすい解説

鬼次拍子舞 (おにじひょうしまい)

歌舞伎舞踊。長唄。本名題月顔最中名取種つきのかおもなかのなとりぐさ)》。1793年(寛政5)江戸河原崎座初演。作詞・作曲初世杵屋(きねや)正次郎。長田太郎を大谷鬼次,松の前を岩井喜代太郎。主演者の名をとって通称としている。7世坂東三津五郎が1922年に復活して以来,坂東流の曲のようになっている。古風で武骨な長田と烏帽子水干姿の松の前との拍子舞,虫づくしクドキ,チョボクレ,手踊,見顕しとなる大時代な踊り。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鬼次拍子舞」の意味・わかりやすい解説

鬼次拍子舞
おにじひょうしまい

歌舞伎(かぶき)舞踊劇。長唄(ながうた)。本名題(ほんなだい)『月顔最中名取種(つきのかおもなかのなとりぐさ)』。作詞・作曲不詳。2世西川扇蔵振付け。1793年(寛政5)9月江戸・河原崎座(かわらさきざ)で大谷鬼次(後の2世中村仲蔵)の長田太郎、岩井喜代太郎の白拍子松の前により初演。山樵(やまがつ)姿の長田太郎と松の前実は岡部六弥太(おかべろくやた)妹呉竹(くれたけ)が山中で名笛を奪い合うというだけの筋だが、松の前の男舞に長田が絡み、拍子舞(踊り手が三味線にのって歌いながら踊る)になるくだりがよくできているので、表記の通称で知られる。大正後期に7世坂東(ばんどう)三津五郎と5世中村福助が復活。

[松井俊諭]

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「鬼次拍子舞」の解説

鬼次拍子舞
(通称)
おにじ ひょうしまい

歌舞伎・浄瑠璃外題
元の外題
月顔最中名取種
初演
寛政5.8(江戸・河原崎座)

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