魑魅(読み)ちみ

精選版 日本国語大辞典 「魑魅」の意味・読み・例文・類語

ち‐み【魑魅】

〘名〙 (「魑」はばけものの類、「魅」はもののけの類) 山林の気から生じるというばけものの類。山や沢の怪物やもののけ。すだま
性霊集‐二(835頃)沙門勝道上補陀落山碑「磤雷腹而吼、翔鳳足而羊角、魑魅罕通、人蹊也絶」
※読本・雨月物語(1776)貧福論「魑魅(チミ)にあらず人にあらず、君がかしづき給ふ黄金の精霊なり」 〔史記‐五帝本紀〕

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デジタル大辞泉 「魑魅」の意味・読み・例文・類語

す‐だま【魑魅/霊】

山林・木石の精気から生じるという霊。人面鬼身で、よく人を迷わすという。ちみ。〈和名抄
人の霊魂。たましい。〈和名抄
[類語]精霊魍魎山霊木霊

ち‐み【×魑魅】

《「魑」は化け物、「魅」は物の怪の類》山林の精気から生じるといわれる化け物。すだま。

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普及版 字通 「魑魅」の読み・字形・画数・意味

【魑魅】ちみ

すだま。山川の怪。〔漢書、王伝中〕敢て井田の法を非(そし)り、法を無(なみ)し衆を惑はすらば、(こ)れを四裔(しえい)(四方の果て)に投じ、以て魑魅を禦(ふせ)がしむること、皇始(舜)の故事の如くせん。

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世界大百科事典(旧版)内の魑魅の言及

【魑魅魍魎】より

…また螭蜽とも書く。中国の《左伝》の注に〈魑魅は山川の異気の生む所にして人に害をなすもの〉,また,《国語》の〈木石の怪を夔蜽(きもうりよう)と曰(い)う〉の注に〈蜽は山精,好んで人の声を斅(まな)びて人を迷惑(まどわ)す〉とあるように,こだま,すだまの類をさす。これらは地方的な精霊であるため,中央集権的な神々の体制には服さず,それゆえ,人々が何の準備もなくこうした精霊と遭遇するのは危険であるとされた。…

※「魑魅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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