魚王行乞譚(読み)ぎょおうぎょうこつたん

世界大百科事典(旧版)内の魚王行乞譚の言及

【魚】より

…魚が昔話や伝説の不可欠の構成要素とされているものに,助けた魚が女の姿となって女房になり幸運を与える〈魚女房〉,動物が尾で魚を釣ろうとして氷に閉じられしっぽを失う〈尻尾(しつぽ)の釣り〉などがあり,魚を捕らえて帰る途中で怪しいことが起こり復讐を受ける〈おとぼう淵〉〈よなたま〉などの伝説(〈物言う魚〉)は,魚が水の霊の仮の姿であるという信仰があったことを物語っている。淵の魚をとりつくす毒流し漁を準備しているとき,それを戒める旅僧に食物を与えたところ,獲物の大魚の腹からその食物が現れ,漁に参加した者がたたりを受けたという話(魚王行乞譚,〈物食う魚〉)もこの古い信仰の流れの末である。 仏教が魚類を食することを禁じたために,仏教の教義に服しない表現として魚類を口にする風が生じ,幼児の死者の再生を祈って棺内にイワシなどを納め,また葬儀の忌を終わるにあたって精進落しと称してことさらに魚味を口にする風習が行われる。…

【毒】より

…この方法にかかわって語られる昔話として,川魚どもの首領が人に姿を変えて現れ,ドクモミを準備する人々に中止を求めるが,住民はそれをきかず,食物を与えて帰す。いざ毒流しで多くの魚を捕ると,そのうちとくに巨大な魚の腹から先に与えた食物が出てきたので,人々はこの行為を悔いたという話になっている(魚王行乞譚)。これも毒のあることは知りながら,それを用いることを忌むために生まれた説話であろう。…

※「魚王行乞譚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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