魚肥(読み)ぎょひ(英語表記)fish manure

精選版 日本国語大辞典 「魚肥」の意味・読み・例文・類語

ぎょ‐ひ【魚肥】

〘名〙 魚類を乾燥させて製した窒素分、燐酸分に富む肥料。しぼりかす、ほしか、あらかすなど。

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デジタル大辞泉 「魚肥」の意味・読み・例文・類語

ぎょ‐ひ【魚肥】

魚を原料として作った肥料。窒素燐酸りんさん分に富む。干し・絞りかすなど。

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改訂新版 世界大百科事典 「魚肥」の意味・わかりやすい解説

魚肥 (ぎょひ)
fish manure

魚類を乾燥し,あるいは油を絞りとって作った肥料のことで,普通は窒素9~10%,リン酸4~5%を含む。窒素とリン酸に富んでおり,肥効は高いが,化学肥料に比して著しく高価であるので現在は肥料としての消費は少ない。江戸時代の初期にワタ,アイ,タバコなどの商品作物用の肥料として取引され,明治の半ばまでは日本の販売肥料の中心を占めていた。生産,消費は昭和10年ころが最高であったが,第2次大戦後のイワシニシンの漁獲高激減などにより生産量は減少した。魚肥はほしか干鰯)とイワシやニシンの〆粕(しめかす)(油をとった残り粕)が主であったが,最近は魚類の加工残渣や調理残渣の処理物である荒粕類がほとんどである。後者は魚骨の割合が多いため,窒素含量が低く,リン酸含量が高くなる。魚肥類の窒素は有機態であるが,土壌中での無機化は油粕類よりは速い。したがって基肥,追肥のいずれにも使用可能である。
有機質肥料
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百科事典マイペディア 「魚肥」の意味・わかりやすい解説

魚肥【ぎょひ】

魚類を加工した有機質肥料。干し魚粉,魚かす,荒かすなどがある。かつてはほしか(干鰯)と〆かすが主であった。魚かすは魚を蒸し煮,圧搾し,油や水分を除いたもので,魚油生産の副産物であることが多い。荒かすは水産物加工の廃棄物(内臓頭部など)を原料とするもの。魚肥はカリウムは乏しいが,リン酸,窒素に富み,日本における最初の販売肥料として江戸初期より取引された。現在は生産量がまとまらず,比較的高価なため,一部園芸作物に用いられるほか,化学肥料に配合されることが多い。
→関連項目アルカリ性肥料干鰯問屋

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世界大百科事典(旧版)内の魚肥の言及

【干鰯問屋】より

…江戸時代の魚肥の問屋兼仲買商。農業生産における魚肥の施用は戦国期に始まるが,江戸時代に入って大衆的衣料として普及した木綿の原料としての綿作の発展は,速効性にすぐれた購入肥料としての魚肥の需要を増大させ,大坂,江戸をはじめ各地に魚肥を扱う干鰯問屋が成立した。…

※「魚肥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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