鳩車(読み)きゅうしゃ

精選版 日本国語大辞典 「鳩車」の意味・読み・例文・類語

きゅう‐しゃ キウ‥【鳩車】

〘名〙 玩具一つ。土でハトの形をつくり、車をつけてひもで引くようにしたもの。はとぐるま。
※本朝文粋(1060頃)一三・為左大臣供養浄妙寺願文〈大江匡衡〉「弟子自竹馬鳩車。至而立強仕、不独善兼済」 〔潜確居類書〕

はと‐ぐるま【鳩車】

〘名〙 玩具の一つ。粘土や木の皮、つるなどで鳩の形をつくり、車をつけて紐で引くようにしたもの。鳩の車。きゅうしゃ。〔随筆守貞漫稿(1837‐53)〕

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デジタル大辞泉 「鳩車」の意味・読み・例文・類語

はと‐ぐるま【×鳩車】

郷土玩具の一。粘土・木・つるなどで鳩の形を作り、車をつけてひもで引くようにしたもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鳩車」の意味・わかりやすい解説

鳩車
はとぐるま

鳩の形につくった玩具(がんぐ)。胴体両側に車をつけ、紐(ひも)で幼児が引いて遊ぶ。中国では古くから流行し、日本では江戸時代から子供の遊び道具となった。鳩が頭を上下させ、豆をついばむ動作をするものなどもある。張り子製が多いが、長野県野沢温泉産の鳩車は、野生アケビのつるを利用してつくられ、特異な郷土玩具として知られる。近くの善光寺境内でも売り始めたことから善光寺鳩車ともいう。

[斎藤良輔]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鳩車」の意味・わかりやすい解説

鳩車
はとぐるま

張り子,木,土などでつくったハトに両輪をつけ,紐で引くようにした玩具。寺島良安の『和漢三才図会』は中国の鳩車について,高さ約 6.5cm,長さ約 10cm,幅約 5cm,輪径約 6.5cm,親バトが子バトを負うている形を紹介している。日本でも平安時代から鎌倉時代にかけて小さな子供に楽しまれた。今日の鳩車は,むしろ飾り物用の民芸玩具に属し,特に長野県飯山,野沢地方で産するアケビのつるでつくった鳩車が有名。

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世界大百科事典(旧版)内の鳩車の言及

【アケビ】より

…ミツバアケビのつるは,籠や玩具細工の材料となる。信州の鳩車(はとぐるま)は有名。
【アケビ科Lardizabalaceae
 メギ科,ツヅラフジ科に近縁な双子葉植物離弁花類の科。…

※「鳩車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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