鳩間島(読み)はとまじま

日本歴史地名大系 「鳩間島」の解説

鳩間島
はとまじま

西表いりおもて島の北端ニシ崎の北西約五キロの海上に位置する面積〇・九六平方キロの低島。方音ではパトゥマ。一島で竹富町鳩間はとまを構成。「中山伝信録」に「巴度麻、訳曰波渡間、在八重山西南」とみえ、「サマラン号来航記」にHatomaと記される。正保国絵図に「こみ間切之内鳩間はとま嶋 人居有、嶋廻廿弐町」とみえ、対岸西表島鬚川ぴない村に至る船路に「ひけ川村より鳩間はとま嶋迄海上三里半」と記される。「寰瀛水路誌」にはアイサック島という洋名で記載されている。北西―南東方向に長軸をもつ楕円形状の島で、最高標高は島の中央やや南寄りにある鳩間中森はとまなかむりの三〇・一メートル。地質は鳩間中森が新第三紀の砂岩で、その周囲に第四紀の琉球石灰岩が分布する。島内では三ヵ所の遺跡が発見されている。鳩間小中学校の東側に形成された鳩間大泊はとまうぷどうまり貝塚、通称屋良やらとよばれている砂丘地に形成された鳩間屋良はとまやら貝塚はいずれも先島先史時代後期と考えられている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鳩間島」の意味・わかりやすい解説

鳩間島
はとまじま

沖縄県西部,八重山諸島西表島北方約 4kmにある島。竹富町に属する。島は石灰岩からなり,周囲はすべてサンゴ石灰岩に囲まれる。付近カツオイカなどの漁場。半農半漁の古い集落であったが,観光に転換鳩間節などの民謡が知られる。石垣島から定期船が就航全島西表石垣国立公園に属する。西表島との間の海域が鳩間島バラス・宇那利崎海域公園地区に指定されている。面積 0.96km2人口 54(2020)。

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改訂新版 世界大百科事典 「鳩間島」の意味・わかりやすい解説

鳩間島 (はとまじま)

沖縄県八重山郡竹富町に属する島。八重山列島西表(いりおもて)島北端から約4kmに位置し,面積1.01km2,人口50(2010)。琉球石灰岩からなる低平な島で,最高点の中森(31m)に鳩間島灯台が立つ。南岸に半農半漁の集落鳩間があり,民謡《鳩間節》が伝わる。かつては対岸の西表島上原に水田をもち,船による通耕が行われた。
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デジタル大辞泉プラス 「鳩間島」の解説

鳩間島

沖縄県八重山郡竹富町、西表島北端のニシ崎から北西約5キロメートルに位置する島。「はとまじま」と読む。面積約0.96平方キロメートル。江戸時代、元禄年間に西表島、黒島からの移住により開拓された。全国に先駆け、不登校児童などを受け入れる島留学制度を開始した島としても知られる。

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世界大百科事典(旧版)内の鳩間島の言及

【バルド・トエ・ドル】より

…正式の題名は《“安寧神と忿怒神を観想することにより自己を解脱させる深遠なる宗教書”の中より,中有(ちゆうう)(バルド)の状態での聴聞(トエ)による大解脱(ドル)》。チベット仏教の祖聖パドマサンババ(蓮華生)によって著され,セルデン河畔のガンポダル山に秘匿された埋蔵経(テルマ)の一つで,その後パドマサンババの第5の転生者である超能力の霊感の具有者リクジン・カルマリンパ(14世紀?)によって感得・発掘されたとされる。 本書は,チベットで死に赴く病人・死者に対してその枕辺で僧の読誦する,日本の〈枕経(まくらぎよう)〉に相当する性格を有し,かつその後7週間にわたって亡魂供養のため唱えられるお斎(とき)の経としても用いられる。…

【密教美術】より

… 密教のアジア諸国への伝播にはいくつかの道があった。密教成立後100年ほど後の747年,パドマサンババ(蓮華生(れんげしよう))がチベットに入り,土着のボン教と融合してラマ教を開いた。その後ラマ教はモンゴルに入り,元朝がこれを採用して中国,朝鮮にまで伝播した。…

【ラマ教音楽】より

…儀礼音楽は,ラマ僧による読経と賛歌がユニゾンでの単旋律の朗唱と器楽伴奏によって奏される。パドマサンババを開祖とするニンマ派,あるいはカダム派,サキャ派,カギュ派など古派の儀礼音楽と,ツォンカパ以来のゲルク派の儀礼音楽とは大きな変化はない。ラマ教の分布するチベット高原,ブータン,シッキム,ネパールなどの地域的変化はわずかだが,インド北部のラダック各地の儀礼音楽は若干の変化がみられる。…

※「鳩間島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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