鳶・鴟・鵄(読み)とび

精選版 日本国語大辞典 「鳶・鴟・鵄」の意味・読み・例文・類語

とび【鳶・鴟・鵄】

〘名〙
① タカ科の鳥。全長約六〇センチメートル。体は暗褐色で胸に黒い縦斑がある。他のタカ類と違って尾先にくぼみがある。森林の高い木に営巣し、腐肉を好み、主にネズミ・魚などの死体をあさる。鳥獣を襲うことは少ない。よく空中で輪をえがいて飛び、ピーヒョロロと鳴く。日本各地に留鳥として棲息し、市街地・村落付近・海岸に多い。とんび。〔十巻本和名抄(934頃)〕
② 「とびぐち(鳶口)」の略。
③ 「とび(鳶)の者」の略。
※雑俳・柳多留‐一〇七(1829)「安い鳶あひるふさがり鷹へそれ」
④ 「とびいろ(鳶色)」の略。
※洒落本・人遠茶懸物(1786)「武士が兄弟飛色(トビ)ぞろひ、床場でいはぬ本田髪」
定職をもたないでぶらぶらしている人。遊び人。
※雑俳・神風(1742)「当風の跡に近所の鳶が舞ふ」
⑥ 江戸時代、現物売買の仲介をして手数料を取るのを業とした人。牙儈(すあい)。鳶商人。
[補注]「書紀‐神武即位前」に「金色霊鵄(こがねのあやしきとび)」が神武天皇に勝利をもたらしたことが記されており、トビは古くは霊鳥と見なされていたようである。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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