(読み)ウズラ

デジタル大辞泉 「鶉」の意味・読み・例文・類語

うずら〔うづら〕【×鶉】

キジ科の鳥。全長約20センチ、体は丸く尾は短い。全体に茶色で、黄白色の縦斑と黒斑とがある。草原にすみ、地上を歩き回る。ユーラシア・北アフリカに分布。古くは鳴き声を楽しむために飼育された。肉・卵ともに美味。小花鳥こばなどり 秋》「桐の木に―鳴くなる塀の内/芭蕉
江戸時代の歌舞伎の見物席で、左右の花道に平行した東西桟敷階下の席。また、そこの見物人。形状が鶉籠うずらかごに似ているのでいう。鶉桟敷

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精選版 日本国語大辞典 「鶉」の意味・読み・例文・類語

うずら うづら【鶉】

〘名〙
① キジ科の鳥。全長約二〇センチメートル。頭が小さく、尾が短く、からだは丸みを帯びる。羽の色は地味で、茶褐色、黄褐色、黒色などが細かく混ざり合っている。ヨーロッパ、アジア、アフリカ、マダガスカル島に分布。日本では北海道、本州の中部以北で繁殖し、冬には本州中部以南の平地で見られる。肉、卵ともに美味で、家禽化されたものは、年間に百個以上の卵を産む。狩猟鳥。日本産を独立種とする説もある。《季・秋》
万葉(8C後)三・二三九「猪鹿こそば い匍ひ拝め、鶉(うづら)こそ い匍ひもとほれ」
※伊勢物語(10C前)一二三「野とならばうづらとなりて鳴きをらんかりにだにやは君は来ざらむ」
② 縄の名。棕櫚(しゅろ)の毛と加賀苧(かがお)とを交ぜてなった船綱。その色が①の羽の斑の様であるのでいう。
※和漢船用集(1766)一一「うづら〈略〉水縄等に用」
③ 江戸時代、廻船に用いられた「はがせ(羽瀬)」の俗称。船体の形状が①に似ているところからいう。〔和漢船用集(1766)〕
※談義本・根無草(1763‐69)後「東の上はてらてらと輝き、西のうづらは興を催す」
⑤ ④の見物人。
※雑俳・柳多留‐五一(1811)「あっちらを向て鶉は餌を拾ひ」
⑥ 「うずらやき(鶉焼)①」の略。
※雑俳・柳多留‐六七(1815)「鶯や鶉をつまむ鷹の爪」
[語誌](1)①の挙例「伊勢物語‐一二三」で、男が深草に住む女に飽きて出て行こうとする時の贈答歌が「古今集」にも読み手を変えて採られ、鶉は、京都の深草と結びつくようになり、「夕さればのべの秋風身にしみてうづらなくなりふか草の里〈藤原俊成〉」〔千載‐秋上〕の本歌取りによって、結びつきがより強くなった。
(2)秋の景物とするのは勅撰集では「後拾遺集」が古い。「鶉鳴く」はその鳴き声が賞美されたからでもあり、江戸時代の明和安永(一七六四‐八一)の頃には優劣を競う「鶉合わせ」が流行した。

いとら【鶉】

〘名〙 鳥「うずら(鶉)」の異名。〔仙覚抄(1269)〕

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「鶉」の解説

鶉[畜産]
うずら

東海地方、愛知県の地域ブランド。
主に豊橋市・田原市・常滑市などで生産されている。現在、家禽として飼育されている鶉は、野生の鶉を多産卵に改良した日本鶉。戦後、豊橋市の商店が、東京でペットとして飼われていた鶉を譲り受けたのが始まり。発育が早く、孵化してからおよそ40日で卵を産み出す。鶏卵に比べて黄身の割合が多いのが特徴。愛知県の鶉飼養羽数は、全国の約65%。良質のタンパク質・鉄分を多く含み、アミノ酸は鶏卵の約2倍。多くはゆで卵に加工され、全国に出荷される。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鶉」の解説

鶉 (ウズラ)

学名:Coturnix coturnix
動物。キジ科の鳥

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【上砂川[町]】より

…夕張山地をパンケウタシナイ川が刻み,その河谷に炭鉱町が立地していた。1899年福井県人が農場を開き郷里の名をとって鶉(うずら)と称したのが開拓の初めで,今もこの地名は市街西部に残っている。1914年三井鉱山が採炭を始め,18年鉄道(函館本線の支線,現在は廃線)が開通して,以来産炭地として発展した。…

※「鶉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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