鷲神社(読み)おおとりじんじゃ

精選版 日本国語大辞典 「鷲神社」の意味・読み・例文・類語

おおとり‐じんじゃ おほとり‥【鷲神社】

東京都台東区千束にある神社。旧村社。祭神、天之日鷲命(あめのひわしのみこと)日本武尊(やまとたけるのみこと)。日本武尊が戦勝を祈願したと伝え、武運、開運、商売繁栄の神として信仰を集めている。一一月の酉(とり)の市は江戸時代から年中行事となり、縁起物の熊手が売られる。浅草お酉さま。

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デジタル大辞泉 「鷲神社」の意味・読み・例文・類語

おおとり‐じんじゃ〔おほとり‐〕【鷲神社】

東京都台東区にある神社。祭神は天之日鷲命あめのひわしのみこと日本武尊やまとたけるのみこと11月とりの市で有名。→酉の市

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日本歴史地名大系 「鷲神社」の解説

鷲神社
わしじんじや

[現在地名]八千代町沼森

杉・樅の木立に囲まれて鎮座。祭神は天日鷲命。旧村社。興国元年(一三四〇)に北畠親房・結城親朝の南朝勢と高師冬の北朝勢の攻防が行われ、同年六月一日の越後権守秀仲奉書(結城古文書写)に「同廿八日八丁目垣本鷲宮善光寺山四ケ所城放火没落」とみえるが、この北朝方の鷲宮は当社ともいわれる(関城繹史)。縁起では応永一六年(一四〇九)源家綱が沼・山林を開いて地名を沼森とし、その高所一千二〇〇坪を神域とし、高橋氏の神社としたといい、小字神田かみだが残る。村の成立以来その鎮守となり、徳川秀忠の時一六郷(今里・川尻・本郷・貝谷・沼森・若・太田・大山・刈橋・粟野・粟野新田・片角・仁江戸・鎌庭・村岡・新地)総社となったという。

鷲神社
わしじんじや

[現在地名]那珂町鴻巣

鴻巣こうのすの西部の字鷲宮わしのみやに森に囲まれて鎮座する。祭神は天日鷲命。旧村社。縁起では大同二年(八〇七)の創建という。昔この地に樹高九〇丈の松の大樹があり、毎年一大鉅鳥が西南より口に白幣を含んで飛来した。里人はこれを異とし、神人に垂示を乞うと武州日鷲の神だといい、しかも三度も占ったが同じなのでこれを奉斎したという(茨城県神社誌)。「新編常陸国誌」には鷲明神とあり、「会津旧事雑考」には「藤田唱名上人(中略)之弟子、感誓、上生、理鶴三僧、曾詣常州鷲大明神、経宿、凝祈願、夢一鯉魚活躍神前、三僧走進捉之、三僧遂祈願、上生創於参州吉田悟真寺、理鶴創於総州猿島竜福寺、感誓所興者新善光寺也、故三寺皆崇於鷲大明神、為鎮寺」とある。

鷲神社
わしじんじや

[現在地名]境町山崎 台の内

南・西に鵠戸くぐいど沼の枝ヤトを望む台地に鎮座。地元では「おわっさま」とよぶ。祭神天穂日命。旧村社。一の鳥居を過ぎると池・神橋と小さな堂があり二の鳥居に達する。本殿は春日造。社伝などによると正和元年(一三一二)一一月初酉の建立、寛永二年(一六二五)山崎やまざき村・内門うちかど村の鎮守となり、正一位に叙せられた。宝永三年(一七〇六)村差出帳や元文四年(一七三九)の村差出帳(ともに逆井家文書)によれば境内は五町二反四畝。

鷲神社
わしじんじや

[現在地名]土浦市東崎町

東崎とうざき町の東側にある。祭神は天日鷲命・手力雄命、旧村社。社伝によれば久寿二年(一一五五)一一月の創建、文治四年(一一八八)一一月に現在地に遷宮。建久三年(一一九二)には八田知家が無火袋六地蔵灯籠を寄進したという。東崎町(総称)の氏神で、中城なかじよう(総称)の氏神八幡神社に対していた。境内には弘治三年(一五五七)銘などの石碑があり、また文化九年(一八一二)銘の力石三個がある。

鷲神社
わしじんじや

[現在地名]三和町大和田

大和田おおわだ集落中央東部、長井戸ながいど沼上流のヤト田を望む地に鎮座。本殿献額には「鷲香取神社」とあり、祭神天穂日命。配祀経津主命・猿田彦命など。旧村社。境内には神楽殿などもある。社伝によれば慶長年間(一五九六―一六一五)の天候不順による不作・幼児の流行病を救うために吉原兵庫之介・百戸摂津の両名が武州鷲宮の鷲神社の分霊を迎えて社殿を造ったという。

鷲神社
わしじんじや

[現在地名]岩井市馬立 西

岩井―沓掛くつかけ街道の東、菅生すがお沼上流のヤト田を南に見下ろす地に鎮座。祭神天日鷲命、配祀経津主命。旧村社。例祭は四月初酉日。創建は大同二年(八〇七)と伝え、武州鷲ノ宮の鷲大明神を分霊奉遷。古代の馬立またての地は木綿の産地であったところから天日鷲命を守護神としたとも伝える。

鷲神社
わしじんじや

[現在地名]総和町稲宮 南小路

稲宮いなみや集落西端、長井戸ながいど沼のヤト田を望む台地に鎮座。「おわしさま」と通称され、祭神は天穂日命。旧村社。天和年間(一六八一―八四)の創祀と伝えられる。

鷲神社
わしじんじや

[現在地名]新治村大畑 鷲の宮

祭神は天日鷲命。旧村社。通称はお鷲さま。社伝によれば慶長八年(一六〇三)の創建。例祭は九月一七日で、からかさ万灯の神事(県指定民俗文化財)がある。からかさ万灯は雨乞と五穀豊穣・家内安全を祈願して、江戸時代中期頃から行われた花火行事。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鷲神社」の意味・わかりやすい解説

鷲神社
おおとりじんじゃ

東京都台東(たいとう)区千束(せんぞく)町に鎮座。一般に「おとりさま」とよばれる。天日鷲命(あめのひわしのみこと)、日本武尊(やまとたけるのみこと)を祀(まつ)る。創建年代不詳。社伝では景行(けいこう)天皇のとき、当地で日本武尊が天日鷲命を祀られたことに由来すると伝える。近世、日蓮(にちれん)宗の長国寺のなかにあったが、1868年(明治1)の神仏分離で独立。その例祭の11月の酉(とり)の日は、酉(とり)の市(いち)として大阪の十日戎(とおかえびす)に対比すべき祭りで、当夜は縁起物の熊手を売る店が境内に立ち並び、参詣(さんけい)者でにぎわうが、商家ことに料理飲食業者の信仰を集めている。

[鎌田純一]


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世界大百科事典(旧版)内の鷲神社の言及

【酉の市】より

…11月酉の日の鷲(おおとり)(大鳥)神社の祭礼に立つ市。この祭りを〈酉のまち〉〈おとりさま〉などともいう。…

【ワシ(鷲)】より

…岩上や老樹のこずえに巣を営んで子を育て定着するので,地名にもしばしば名づけられる。また,巨大で強力なところから霊鳥として尊ばれ,関東の鷲(おおとり)神社,大鳥(おおとり)神社などはこれを神に祭ったものであろう。古くはワシが天から子どもたちを連れてきたという信仰もあり得たかと考えられる説話がある。…

※「鷲神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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