朝日日本歴史人物事典 「黒沢琴古(3代)」の解説
黒沢琴古(3代)
生年:安永1(1772)
江戸中・後期の琴古流尺八奏者。本名雅十郎(過去帳には雅二郎とある),のちに幸八と改める。2代目琴古の子。初め琴甫と号して「本町一丁目家主伝右衛門店」に住み,尺八教授を行った。江戸における尺八の名手として門人も多く,久松風陽などもそのひとり。尺八製管を手がけたほか,新曲の創作も多かったといわれる。3代目琴古が記録したと伝えられる『琴古手帖』(成立年不詳)は,琴古流の伝承を知るうえで重要な文献として名高い。4代目琴古(本名音次郎,のち幸八)は弟に当たる。<参考文献>栗原広太『尺八史考』(復刻,1975)
(瀬山徹)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報