黒羽（読み）クロハ

デジタル大辞泉

くろ‐は【黒羽】

１ 黒い鳥の羽。
２ 鷲わしの黒い羽で作った矢。
「―、白羽、染羽、色々の矢ども」〈義経記・八〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

くろ‐は【黒羽】

〘名〙

① 黒い、鳥の羽。

※平治（1220頃か）上「いか物作りの太刀をはき、黒羽の矢負ひ、節巻の弓もって」

② 江戸時代、大坂の盆踊りなどで用いた衣装。肩から帯まで上半身を黒いきれにし、帯から下を他色のきれで縫い合わせたもの。

※雑俳・芥子かのこ（1716‐36）「三座敷の襖はづして黒羽きる」

③ 「くろはぶたえ（黒羽二重）」の略。

※浮世草子・五箇の津余情男（1702）四「上著は上州ぎぬの糊がためにしたる黒は、すそべりの紅裏」

くろ‐つ‐ば【黒羽】

〘名〙 (「くろづは」とも) 黒い鳥のはね。くろは。一説に、から鷲の保呂羽(ほろば)（本間流聞書（1784頃））。

※長門本平家（１３Ｃ前）八「褐衣の鎧直垂に黒革のをどしの大あらめの鎧に、黒つ羽の三矢廿四さしたるを」

くろばね【黒羽】

栃木県の北東部、那珂川の中流域にある地名。中世以降、大関氏の城下町、那珂川水運の河港として発展。農業が主で、製材業などが行なわれる。

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

黒羽
くろばね

栃木県北東部、那須(なす)郡の、茨城・福島県と境を接する位置にあった旧町名（黒羽町(まち)）。現在は大田原市(おおたわらし)の東部を占める地域。旧黒羽町は1889年（明治22）町制施行。1955年（昭和30）川西町、両郷(りょうごう)村、須賀川村と合併。2005年（平成17）大田原市に編入。国道294号、461号が通じる。旧町域の中心の黒羽田町は黒羽藩（大関氏）1万8000石の城下町として、その後那須地方の一中心地として発展してきた。西縁は那珂(なか)川沿岸低地を中心に水田が開かれ、東側は八溝(やみぞ)山地で、これを切り刻む那珂川水系の武茂(むも)川などのつくる谷沿いに水田と集落がある。南東縁部のみは久慈(くじ)川水系に属する。おもな産業は、米、野菜、酪農を中心とする農業であり、主要交通路から離れているため、工業化は後れている。八溝山地一帯は八溝県立自然公園に指定されている。

［櫻井明久］

『『黒羽町誌』（1982・黒羽町）』

[参照項目] | 大田原（市） | 雲巌寺 | 黒羽藩

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

黒羽
くろばね

栃木県北東部，大田原市東半分を占める旧町域。八溝山地の西斜面，那珂川上流部にある。 1889年町制。 1955年川西町および須賀川村，両郷村の2村と合体。 2005年大田原市に編入。中心集落の黒羽は古くは黒羽藩大関氏の城下町。ほとんどは森林で，農林業を主体とし，製材業も盛ん。米のほかタバコ，コンニャクも栽培される。鎌倉時代に開かれた雲巌寺には国指定重要文化財の絹本著色仏応禅師像などの寺宝がある。那珂川のアユ漁は有名で，期間をかぎって簗が設けられ，多くの観光客，釣り客を集める。一部は八溝県立自然公園に属する。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

改訂新版　世界大百科事典

黒羽 (くろばね)

→大田原［市］

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」