鼠径管(読み)そけいかん(英語表記)inguinal canal

改訂新版 世界大百科事典 「鼠径管」の意味・わかりやすい解説

鼠径管 (そけいかん)
inguinal canal

股関節の前方鼠径部にあり,男性では精索が,女性では子宮円索(子宮を固定する索状体)が,腹腔から皮下へ通過する管で,左右の腹壁下端を外側上後方から内側下前方へ斜めに貫通している。その長さは4~5cm。男性では,精管血管,神経,挙睾筋などを伴い精索となって通過するために太い(小指ほどの太さ)。皮膚側の外口を浅(皮下)鼠径輪,腹膜側の内口を深(腹膜下)鼠径輪と呼ぶ。管の上壁は腹横筋と内腹斜筋の下縁によってつくられ,下壁は鼠径靱帯じんたい)および裂孔靱帯により,また後壁は最も薄くて抵抗が弱く腹横筋の腱膜からなり,前壁は外膜斜筋の腱膜により形成される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鼠径管」の意味・わかりやすい解説

鼠径管
そけいかん
inguinal canal

腹壁下部で鼠径靭帯上方を下行する4~5cmの管。内腔に男性では陰嚢にいたる精索,女性では大陰唇にいたる子宮円索が通っている。鼠径ヘルニアは腸などの一部がこの管を通って脱出するもので,男子に多い。

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