龍野城(読み)たつのじょう

日本の城がわかる事典 「龍野城」の解説

たつのじょう【龍野城】

兵庫県たつの市龍野町にあった城。江戸時代に外様大名脇坂氏居城。龍野城は、鶏籠山(けいろうさん)の山城(やまじろ)、山麓平山城(ひらやまじろ)の2期に分かれる。山城は室町時代末期、赤松村秀(むらひで)によって鶏籠山に築かれ、後期の平山城は1672年(寛文12)に信州飯田から移った脇坂安政(やすまさ)が築城したとされている。1577年(天正5)、羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)の中国攻めが始まると、龍野城4代城主赤松広秀(ひろひで)は戦わずに秀吉に城を明け渡した。その後に秀吉の家臣石川光元(みつもと)が入封したが、光元は不便な山上から麓に城主の居館を移した。1581年(天正9)、蜂須賀正勝(はちすかまさかつ)(小六(ころく))が5万3000石で入城し、その後は、徳川譜代の本多氏・小笠原氏・岡部氏・京極氏など城主はめまぐるしく交代した。1658年(万治1)に城主京極高知が讃岐丸亀に移封されると、城は一時廃城となった。1672年(寛文12)に信州飯田から脇坂安政(やすまさ)が5万3000石で入封、城の再建にとりかかった。城主の御殿多聞櫓(たもんやぐら)、政庁などを築き、城下町を整備し、以後、脇坂氏が10代続いて明治維新にいたった。現在、平山城の本丸には、本丸御殿城壁、多聞櫓(たもんやぐら)、模擬埋門(うづみもん)、隅櫓(すみやぐら)などが復元されている。また城内には歴史文化資料館がある。鶏籠山山頂付近には山城の遺構が残っており、平山城の本丸隅櫓奥から登城道が通じている。JR姫新線本竜野駅から徒歩30分。

出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報

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