β-ラクタム抗生物質(読み)べーたらくたむこうせいぶっしつ

世界大百科事典(旧版)内のβ-ラクタム抗生物質の言及

【化学療法】より

…しかし,抗生物質の作用機序や,菌の薬剤耐性のしくみがしだいに明らかになったので,そのため既知の抗生物質の化学構造を人工変換する半合成手段によって,有効物質をつくる計画的な方向がとられるようになった。その主流となっているものがβ‐ラクタム抗生物質と総称されるペニシリンやセファロスポリンの誘導体で,これらは今日先進国で使用される化学療法剤のかなりの部分を占めている。なお,有機合成,分析化学の急速な技術的進歩に伴って,純合成化学療法剤の開発も効率的にすすめられ,さらに今後は遺伝子組換技術の導入による抗生物質の開発も期待されている。…

【抗生物質】より

…しかし現在では,耐性機構も詳しく研究され,耐性菌にも有効な薬剤,あるいはもともと抗生物質が効きにくい緑膿菌や変形菌にも作用する薬剤が開発されている。ペニシリンやセファロスポリンなどβラクタム抗生物質は細菌がつくるβ‐ラクタマーゼという酵素によってこわされるが,6‐アミノペニシラン酸の発見(1959)によって,これを出発材料としてβ‐ラクタマーゼに抵抗性の,天然のペニシリン類よりすぐれた半合成ペニシリンが開発されるようになった。同様のことが7‐アミノセファロスポラン酸を用いる半合成セファロスポリンについても行われ,現在でも半合成βラクタム抗生物質は最も広く用いられている。…

【ペニシリン】より

…ペニシリナーゼでこわされる),ジクロキサシリン(ペニシリナーゼ抵抗性,経口投与可能,グラム陰性杆菌に無効),カルベニシリン(とくに緑膿菌に有効),スルペニシリン(カルベニシリンに似る),メチシリン(ペニシリナーゼ抵抗性)などがある。
[セファロスポリンC]
 1955年にイギリスのアブラハムE.P.AbrahamとニュートンG.G.F.Newtonによって別のカビ(Cephalosporium acremonium)から得られた抗生物質で,ペニシリンと基本骨格がきわめてよく似ており,ペニシリン群とセファロスポリンC群を総称してβ‐ラクタム抗生物質と呼ぶ。セファロスポリンCはペニシリナーゼで分解されず広範囲の菌に効くが,セファロスポリナーゼで分解される。…

※「β-ラクタム抗生物質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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