《シャイアン》(読み)しゃいあん

世界大百科事典(旧版)内の《シャイアン》の言及

【西部劇】より

…例えば,1960年,ジョン・F.ケネディが大統領に就任し,〈ニューフロンティア宣言〉がなされると,それに応じ,フロンティア・スピリットの復活をめざしてシネラマによる超大作《西部開拓史》(1962)がつくられ,テキサス独立のおりの玉砕戦史を描いて国威発揚をうたった70ミリ大作《アラモ》(1960)がつくられる。しかし,そのケネディ大統領が63年に凶弾に倒れ,アメリカがベトナム戦争の泥沼に踏み込んでいき,〈ブラックパワー〉や〈レッドパワー〉が大きく台頭してくるにつれて,西部劇は沈滞し,あるいは暗い内容におちこみ,ジョン・フォード監督はその最後の西部劇《シャイアン》(1964)でインディアン迫害の歴史を追悼し,70年代に入るや,ベトナム戦争のイメージでインディアン大虐殺を主題にした《ソルジャーブルー》(1970),《小さな巨人》(1970)などがつくられる等々。いずれにせよ,西部劇はかつての単純明快な,アクション中心の娯楽映画の系列からは遠く離れたものになり,そして,最後まで豪快な西部劇の定石を守り続けたハワード・ホークス監督も《エル・ドラド》(1967)と《リオ・ロボ》(1970)を最後に現役を退き,さらに79年,〈西部の巨人〉として西部劇の象徴であった大スター,ジョン・ウェインが自分自身を主人公にしたような癌に苦しむ老ガンマンの最期を描いた《ラスト・シューティスト》(1975)を遺作にこの世を去り,アメリカ西部劇の歴史は閉じられたという感慨がある。…

【フォード】より

…ジョン・ウェイン,モーリン・オハラ,ビクター・マクラグレンなどの人々は〈フォード一家〉と呼ばれてファンに親しまれた。 開拓史上有名な土地争奪戦(いわゆる〈ランド・ラッシュ〉)を背景に,若い恋人たちを守って戦う心優しい無頼漢たちを描いた《三悪人》(1926),愛するわが子たちを次々に戦争に奪われるドイツの母の悲劇を描いた《四人の息子》(1928),伝染病と戦い,愛妻を失う一医師の人生を描いた《人類の戦士》(1931),アイルランド独立戦争のさなか自由へのあこがれから親友を売って自滅する愚直な男を描いた《男の敵》(1935),〈ウィル・ロジャース三部作〉とよばれる人情味あふれる豪快な喜劇,すなわち《ドクター・ブル》(1933),《プリースト判事》(1934),《周遊する蒸気船》(1935),スタインベックの名作の映画化《怒りの葡萄》(1940),ウェールズの一鉱山の盛衰とそこに生きた一家族の明暗を描いた《わが谷は緑なりき》(1941),詩的西部劇の傑作として名高い《荒野の決闘》(1946),ときにシリアスにときにユーモラスに西部辺境の騎兵隊の生活を描いた〈騎兵隊三部作〉として知られる《アパッチ砦》(1948),《黄色いリボン》(1949),《リオ・グランデの砦》(1950),アイルランド気質あふれるコミカルな人情劇《静かなる男》(1952),インディアンに奪われた少女を探し求める男の執念と孤独と憎しみの旅路を描いた《捜索者》(1956),古き西部の終焉を描いた《リバティ・バランスを射った男》(1962),白人に追われるインディアンの一群の生れ故郷への悲惨な大移動を描いた《シャイアン》(1964)……。フォードの作品歴は,契約監督時代と独立プロ時代に大きく分けられ,前半は22歳(1917)から第2次世界大戦直後の51歳まで,後半は52歳(1947)から71歳(1966)までとなる。…

※「《シャイアン》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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