《セント・ヘレナの回想》(読み)せんとへれなのかいそう

世界大百科事典(旧版)内の《セント・ヘレナの回想》の言及

【回想録】より

…自伝の一種とみなすこともできるが,常識的な区別として,語り手の私生活や内面的反応に重点をおくのが自伝,公的な経歴,とくに歴史的な事件や人物を中心とするものが回想録といえる。このジャンルの原型をなすものに,古代ギリシアのクセノフォンの2著,《アナバシス》と《ソクラテスの思い出》があげられる。著者自身,ギリシア人の傭兵と共にペルシアの王子キュロスの王位争いの戦いに参加,キュロスがあえなく戦死した後,ギリシア兵をまとめて長途の退却,帰国を苦難のうちにやりとげた体験記が前者で,後者は題名のとおり,回想風なソクラテス伝である。…

【ラス・カーズ】より

…16年12月セント・ヘレナ島総督ハドソン・ローに陰謀の嫌疑を受けて追放され,ブリュッセルに居住し,21年ナポレオンが死ぬとフランスに帰った。セント・ヘレナ島に行く艦上で開始し,島でも続けた皇帝の口述,自分の日記を整理して18年には自分の《回想録》を出し,ついで22年の序文を付した《セント・ヘレナの回想Mémorial de Sainte‐Hélène》8巻(1823)を出版した。この著はナポレオン伝説の〈福音書〉とまで言われ,〈セント・ヘレナ文学〉の傑作で,ナポレオンの帝政と革命の同一化,革命から帝政への推移の正当性,自由主義という意図をよく伝えており,ナポレオンの独裁者から救世主への変貌という政治的目的を達成した。…

※「《セント・ヘレナの回想》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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