世界大百科事典(旧版)内の《トゥキュディデス論》の言及
【ギリシア文学】より
…共和政ローマの政治家・知識人にとってアテナイ留学は必修課程であり,またロドス島のストア派の大学者パナイティオスやその弟子ポセイドニオスの教えを請うた者たちも数多い。アウグストゥス帝の時代にもギリシアの学者たちは優れた専門家としての好遇を受けるが,中でもハリカルナッソスのディオニュシオス(ディオニュシオス・ハリカルナッセウス)の著述は今日までよく伝存し,その《ローマ史》は貴重な文献資料であり,またそのギリシア文芸や弁論家についての著述や《トゥキュディデス論》は,ローマ時代はもとよりルネサンス以降の近世人のギリシア語・ギリシア文学理解に多大の影響を与えた。またアレクサンドリアでは,ギリシア文学研究の資料散逸を憂えたディデュモスが,数千巻を数える注釈書を草したと伝えられ,今日わずかにパピルス巻本で残っている《デモステネス》注釈は,古代随一の文献学者の該博な知識と旺盛な探究心の一端を鮮やかにとどめている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」