《フランシヨンこっけい物語》(読み)ふらんしよんこっけいものがたり

世界大百科事典(旧版)内の《フランシヨンこっけい物語》の言及

【好色文学】より

…近世に入ると,教皇パウルス4世による最初の禁書目録作製(1559)と相前後して,各国で出版物検閲制度が敷かれ,好色文学は地下にもぐると同時にいっそう好事家の食指をそそるものとなり,春本類の秘密出版が企業として成立しはじめる。文学としては近世写実主義小説が当然愛欲の描写をともなうため,部分的に好色文学のわく内に入るものが多い(ソレルの《フランシヨンこっけい物語》(1622‐33),ラクロの《危険な関係》(1782),ゾラの《ルーゴン・マッカール双書》,モーパッサンの短編など)。一方,史伝的逸話集にブラントームの《艶婦伝》(死後出版。…

【ソレル】より

…17歳頃から文筆活動をはじめて文学のほか歴史,哲学などの分野にも筆を染め,多くの作品を残してパリに没した。代表作は《フランシヨンこっけい物語》(1623‐33)で,若い貴族フランシヨンの遍歴を軸としながら,同時代の貴族,町民,農民さらには文士,娼婦,浮浪人,また法曹界や学校生活などが生き生きと描かれ,スカロンの《こっけい物語》,フュルティエールの《町民物語》とならんで,17世紀の風刺的写実小説の傑作とされているが,そこにはまた同時代の社会の宗教的・道徳的・政治的基盤にたいする鋭い批判や自由な生命力の礼賛,情念の解放の称揚など自由思想家的色彩も見られる。ほかに《ドン・キホーテ》を模して当時流行の牧人小説のパロディを意図した“反小説”《とほうもない羊飼い》(1627‐28),金融業者を中心にパリの町民の風俗を克明に描いた《ポリヤンドル》(1648),文学・人文関係の著作に関する貴重な《フランス書誌》(1664)などがある。…

※「《フランシヨンこっけい物語》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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