《二人椀久》(読み)ににんわんきゅう

世界大百科事典(旧版)内の《二人椀久》の言及

【長唄】より

…この期の唄方には初世富士田吉次のほか,のちに遊里に進出して荻江風(おぎえふう)長唄(のちの荻江節)を創始した初世荻江露友,そのほか初世坂田仙四郎,初世湖出市十郎,三味線方に錦屋総治,西川億蔵,初世杵屋作十郎,2世杵屋六三郎,囃子方に宇野長七,3世田中伝左衛門などがいる。 安永・寛政期(1772‐1801)は長唄が上方依存から江戸趣味へと転向し,内容本位の唄浄瑠璃風の長唄から拍子本位の舞踊曲へと移行する,いわば過渡期であり,《二人椀久(ににんわんきゆう)》《蜘蛛拍子舞(くものひようしまい)》がその代表曲であった。また,1792年(寛政4)には舞台に演奏者が並ぶための雛壇が採用されて,歌舞伎舞踊の舞台をより豪華なものとした。…

【椀久物】より

…椀久が狂乱し松山の幻を追うさまは舞踊に適していたため,戯曲としてよりは所作事として脚色されることが多くなった。現存するものでは,一中節の《椀久道行》(《椀久末松山》の道行),長唄の《二人(ににん)椀久》《一人椀久》,常磐津の《三面(みつめん)椀久》《新曲椀久》,清元の《幻(まぼろし)椀久》などがある。明治以後の脚本では,初世市川右団次が演じた《盟約誓十徳(にせかけてちかいのじつとく)》,初世中村鴈治郎の《椀久末松山》(渡辺霞亭作),6世尾上菊五郎の《椀久末松山》(岡村柿紅作),7世沢村宗十郎の《椀久》(田村西男作),12世片岡仁左衛門の《椀屋久兵衛》(真山青果作)などがおもな作品である。…

※「《二人椀久》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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