《二銭銅貨》(読み)にせんどうか

世界大百科事典(旧版)内の《二銭銅貨》の言及

【江戸川乱歩】より

…在学中から英米の探偵小説に関心を抱き,卒業後十数種の職業についた。1923年に《二銭銅貨》を発表し,日本における創作探偵小説の基盤を築き,続いて推理を主軸にした《心理試験》(1925),《陰獣》(1928),《石榴(ざくろ)》,怪奇的な《人間椅子》(1925),《鏡地獄》《パノラマ島奇譚》(1926‐27),幻想的な《押絵と旅する男》(1929)などで,探偵小説という新分野を確立した。一方《蜘蛛(くも)男》(1930),《黄金仮面》などのスリラー長編は,強烈なサスペンスにあふれ,一般読者から熱狂的歓迎をうけ,探偵趣味を普及させた。…

【推理小説】より

… 1920年1月に創刊された雑誌《新青年》は,編集長の森下雨村の好みもあって,はじめから海外探偵小説の翻訳・紹介をその特色としたが,同時に新人の創作を募集した。これに応じて投稿され,1923年4月号に掲載された江戸川乱歩の短編《二銭銅貨》は,日本推理小説史上画期的な作品で,以後彼は名作を次々と発表,日本において〈探偵小説作家〉と呼ばれることのできるものの第1号であると同時に,第一人者とも認められるようになった。《新青年》は50年廃刊まで,ほかに横溝正史,水谷準(以上2人は後に編集長をつとめた),甲賀三郎,大下宇陀児(うだる),小酒井不木(ふぼく),角田喜久雄,夢野久作,海野十三,小栗虫太郎,木々高太郎(林髞),久生十蘭(ひさおじゆうらん)などを生み出し,第2次世界大戦前の注目すべき推理小説作家は,すべて《新青年》が育てたといっても過言ではない。…

※「《二銭銅貨》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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