《俚謡集》(読み)りようしゅう

世界大百科事典(旧版)内の《俚謡集》の言及

【機織歌】より

…古くは〈居坐機(いざりばた)(地機(じばた))〉という,女子が尻を地面につけて,チャンカラチャンカラと横糸を通す杼(ひ)を左右にさし入れる機で,家の中で織っていたが,機織歌はおもにそのころの作業歌として歌われた。《俚謡集》に愛媛県松山地方の機織歌として,〈機を織り織り道の人見れば お手はお留守で縞織り違え 隣のおばさんそこに立って見より わしの顔見てへらへら笑う 笑うおばさんあなうとましや 道のあの人ははや影見えん〉とあるように,元来は長い調子の緩やかな歌であった。近世末に織物業が工業化され,手機(てばた)から高機(たかはた),さらに滑車を利用した能率的なバッタン機に発展し,織り手が工場に雇われるようになると,歌のテンポや内容も,その変遷とともに変わる。…

【民謡】より

…いずれも地方民間の,ごく通俗的でひなびた歌の意で,古代にいう風俗(ふぞく),近世にいう在郷歌,鄙歌(ひなうた)などとほぼ同義である。1914年,文部省文芸委員会が全国道府県から集めた郷土の歌を《俚謡集》と名づけて刊行したのもその意味で,レコードもその種の歌を俚謡と銘打って売り出すことが多かった。しかし大正年間(1912‐26)からはしだいに民謡の語が普及し,宮城県出身の後藤桃水(とうすい)らが1922年に大日本民謡研究会を組織したり,北原白秋,野口雨情,中山晋平,藤井清水(きよみ)(1889‐1944)らの詩人・音楽家が新民謡運動を興したりして,いつしか民謡は従来の俚謡・俗謡以外にも,芸人の手で洗練された地方歌,俚謡の形式と気分を生かした創作歌謡までを含む広い概念のものになった。…

※「《俚謡集》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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