《孟子字義疏証》(読み)もうしじぎそしょう

世界大百科事典(旧版)内の《孟子字義疏証》の言及

【考証学】より

…呉派が漢儒の学説を墨守し復古を主張したのに対し,皖派は必ずしもそれに拘泥することなく,創造的な研究を推し進めた。戴震の《孟子字義疏証》は考証学の方法を用いながらも,その枠を越え,みずからの新しい哲学を提出するに至ったものである。 清朝考証学の成果としては,以下の点を挙げることができよう。…

【戴震】より

…西洋暦算学に通じ,最初の著述は《疇算(ちゆうさん)》,ついで文字音韻学の論文や古代科学技術の研究《考工記図注》,また《屈原賦注》《詩補伝》を書く。都に出て紀昀(きいん)らの知遇をうけるが,会試に及第できずに過ごすうち,《孟子字義疏証》を著す。理・道・性などの語義を論証して孔孟の心を把握しようとするのは,日本の伊藤仁斎の古義学の方法に似るが,戴震は朱子学を批判して人間の欲望肯定の哲学を展開し,日ごろの著述の中で最も大切なものとみずからいう。…

【中国哲学】より

…この考証学は実証的であるだけに,学術上の寄与は大きいが,そのかわり哲学的な内容にはほとんど見るべきものがない。ただひとり考証学の大家の戴震は,その《孟子字義疏証》において,朱子学の理性至上主義に批判を加え,そのリゴリズムを排したのが異彩を放っている。アヘン戦争以後,列国の中国侵略が激化するとともに,思想界にも大きな変動が生まれ,康有為などをはじめとして改革論・革命論を唱えるものが続出するようになったが,その多くは政治論・社会論の範囲にとどまり,哲学の域にまで達した例は乏しい。…

※「《孟子字義疏証》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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