《小さな兵隊》(読み)ちいさなへいたい

世界大百科事典(旧版)内の《小さな兵隊》の言及

【ゴダール】より

…映画が他の分野の芸術家をこれほど熱狂させたのはおそらくチャップリン以来のことといえよう。現代社会の縮図としてとらえられたセックスのテーマ(《女は女である》(1960),《恋人のいる時間》(1964)における姦通,《女と男のいる舗道》(1962),《彼女について私が知っている二,三の事柄》(1966)における売春),社会的・政治的寓話の形式による文明批評の試み(《カラビニエ》1963,《アルファヴィル》),ドキュメンタリーを〈フィクションの真実〉で味付けしたシネマ・ベリテ(ゴダール自身は自分の映画を完結された作品ではなく,〈現在進行形の映画〉と呼ぶ)の試み(《男性・女性》1966),〈歴史の証言者〉としての実在の人物の引用(《女と男のいる舗道》における哲学者のブリス・パラン,《軽蔑》(1963)における映画監督のフリッツ・ラング,等々),そして《小さな兵隊》から《気狂いピエロ》を経て《メイド・イン・USA》に至る7作品までが当時のゴダールの妻で,彼にとって〈永遠のヒロイン〉であり〈狂気の愛〉であった女優のアンナ・カリーナをヒロインにしていることも注目されよう。次いで,67年,9ヵ月後の五月革命の勃発を予言した《中国女》(アンナ・カリーナに次いでゴダール夫人になるアンヌ・ビアゼムスキーが主演)によって,現実をあるがままにとらえる単なる〈実写〉ではなく,逆に現実を誘発し,惹起(じやつき)するというゴダールの〈ドキュメンタリズム〉はその頂点に達した。…

※「《小さな兵隊》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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